あらゆる問題は時間が解決してくれる

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本コラムは個人の見解であり、所属するいかなる組織の公式見解ではありません。
吹奏楽団のブログですが、吹奏楽の話はたいてい無いです。


新着情報

特に新着情報は無いですけど、最近何故かYouTubeのViewが増えてるらしいっすよ。なんかまた収録したいってさ。


コラムのコーナー

重要なことは、未来において何が起こるかではない。

いかなる未来を今日の思考と行動に織り込むか、どこまで先を見るか、それらのことをいかに今日の意思決定に反映させるかである。

ピーター・ドラッカー

先日、NVIDIA主催の『NVIDIA AI DAYS』というオンラインカンファレンスがあった。今やすっかりブームとなり、やや陰りも感じつつあるAIやDX、エッジコンピューティングを主体としたカンファレンスだ。キーノートスピーチやパネルディスカッションを聞き、他にもNVIDIA GTC2021での最新動向なんかも聴講してみた。「あ、経営者とか中間管理職向けのやつだわ、これ」と早々に見切りをつけて、タスクの山をやっつける方に方向転換したのではあるが……

パネルディスカッションで、AIやDXを活用して、更にビジネスの領域を広げていっている事例の紹介があった。登壇者問うて曰く、「なぜそんなにもスピーディにAIやDXといった最新技術の導入ができるのでしょう?躊躇や障害は無いのですか?」。事例の社長が答えて曰く、「別に新しいことをしているつもりはない。ただ現場にある問題を解決する手段としてAIなどを使っているだけだ。社長としては、パソコンとかに詳しい20代とか30代を活用し、いかにして古参に邪魔をさせないか、という仕組みづくりをしただけである。一つの改善の結果で、そこそこの規模の会社が傾くことなんか無いんだから、とりあえずやりゃよかろうもん」

ふむう、なるほど。たしかに。よく言われることではあるけれども、手段の目的化が起きると、大抵、失敗する。ここでいえば、AIやDXを導入することが目的となってしまっちゃ、末端に訪れるものは地獄しかない。結局、困りごととか、ちょっとしたイラっとしたこととか、もっとこうなりゃいいのになぁ、という思いがあって、それを解決なり実現なりするためにどうするか、って話なんだな。

別に、わざわざ新規でソリューションを作り出さなくても、今あるもので解決できるのであればそれを使った方がよろしかろう、というのが俺の所感だ。宇宙ではボールペンが使えないなら、わざわざ無重力化で使えるボールペンを開発しなくても、鉛筆を使えばいいんじゃないの? 目の前のパイプが水漏れしててヤバい状況で必要なのは、水漏れしないパイプの開発ではなく、まずはパイプをダクトテープで塞ぐこと、そしてパイプを交換し、適切にメンテナンスを行い、余裕があれば水漏れが起きた原因を探ることだ。

しかしまぁ、こういう問題ってのは認識する存在があってはじめて存在しうるものだ。何事も問題だと思えば問題だし、些事だと思えば些事だ。Genesis 1:3、「『問題だ』と言われた。すると問題があった」。だとすれば、究極の問題解決とは問題認識者が存在しなくなることなのでは?

ところで、我々はどうしようもない問題(あるいは他人には問題かもしれないが本人にとってはどうでもいいこと)に対して、「時間が解決してくれるよ」などとなんの解決にもならない無責任な解決策を提案し、あるいは慰めをすることが多々ある。たしかに、あらゆる問題は時間が解決してくれる。

なぜか。一説によると、スゲェ時間が経過すると宇宙のエントロピーは最大化し、あらゆるものが平衡状態となった『熱的死』という状態になるらしい。この状態に達した宇宙は完全に均一であり、何も変化しなくなる。永久に。何も変化しないので、何らかの事象も起きないし、問題も起きないし、なにより当然、問題認識者も存在しえない。

なるほど、こうして考えると、時間が解決してくれる、というのはけだし名言である。墓まで持っていきたいほどのパワーワードだ。別にどう足掻いたところで、最終的に問題は雲散霧消する。曰く、56億7000万年後に弥勒菩薩が現れて我々を救済してくれるとのことだが、ひょっとして熱的死のことを言及していた可能性が微粒子レベルで存在する……? ただ問題があるとすれば56億7000万年じゃどうにも足りなさそう、ということだが。

何をしたところで、大勢に何ら影響はない。長期的に見れば我々は皆死んでいる。というか、存在も意思も行動も、ありとあらゆるものは、そこに何かがあるような気がするが、そんな気がしているだけで実際には何も無い……?

そんなことを思いつつ、水の漏れたパイプ群が相変わらず俺の目の前に山積している(ような気がする)のは事実である。少しでもゴキゲンな日々を獲得するため、コラムはそこそこに、こいつらをやっつけなきゃなぁ……と、そんなことを思う今日この頃である。

今週のリコメンド

沖縄電子少女彩

いつものようにSpotifyのDiscovery weeklyからピックアップ。 ノイズやアンビエントに沖縄っぽさをたっぷりドープした感じで、すこぶる良いなぁと思いました。

沖縄アヴァンギャルドテクノアイドルユニット(何だかよくわからないが、ともあれアヴァンギャルドなんだろう)「Tincy」 のメンバー。彩は「サヤ」と読むらしい。

沖縄電子少女彩 Official WEBSITE (saya.okinawa)

Hiatus Kaiyote “Mood Valiant”

以前にも紹介したオーストラリアのスーパークールなネオソウルバンドHiatus Kaiyoteだが、3月に6年ぶりとなる3rd Album, Mood Valiantが出た。ボーカルでありコアメンバーであるNai Palmの乳がんとの闘病も挟んだりして大変だったようだ。

ようやく新譜を聴いたのだが、これがやはりすこぶるクールなんだよなぁ。



余談1: 宇宙は熱的死にはならないんでは?という説を見なかったことにして、宇宙と時間の責任にして問題の存在を抹消する、というのは実に精神衛生に良い。現実逃避とも呼ぶ。

余談2: 備忘、今週末は父の日

余談3: すみっこでやるシャグレビュー。今回はゴールデンバージニアと並ぶ、DRUM。ワールドワイドの売り上げでは常にゴールデンバージニアとトップを争う銘柄だ。開封時、日本人には馴染みのある香りが周囲に漂う。まさしく、鰹節のそれだ。葉の大きさはいびつで、たまに大きな筋っぽい部分も入っている。この点については評価が分かれるところ。味は極めて旨味が濃厚。ゴロワーズやジタンといった黒煙草の、あの旨味に近い。ゴールデンバージニアの甘さ・繊細さを可憐なお嬢様と例えるのであれば、こちらは田舎のおてんば娘だろう。ゴールデンバージニアといい、ドラムといい、さらにゴロワーズやジタンといい、更にはダビドフ・JPSと、インペリアル・ブランズ最高やな……

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