修羅場にて

このコラムは毎週金曜日、中野がその場しのぎの文章をお送りする企画です。
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過去が今、私の人生を収穫しに来た

『ニンジャスレイヤー』
ラスト・ガール・スタンディングの一節

先日、人が叱責されている状況に遭遇した。 修羅場であることには間違い無さそうである。別に俺自身が怒られているわけではないが、居心地はたいそう悪い。学生の皆様においては、卒論の報告会や提出時期が迫る今日この頃であり、修羅場を迎える時期であることだろう。そういうわけで、本日は修羅場について書こうと思う。

修羅場を迎えないために

修羅場。ベテランの中には、修羅場をくぐり抜けなければ成長できない、自ら修羅場に身を置け、と仰る方々も多い。個人的意見とすれば、修羅場を迎えないに越したことはない。せずに済む苦労をわざわざ背負う必要は無い。修羅場を最大限回避していけ。たとえば浮気がバレた修羅場の中で、彼/彼女らが一体、どのような部分で人間的に成長できるというのだろう?

大抵の修羅場は、ミスコミュニケーション、モラルの欠如、 計画性の欠如、 不慮の事態の組み合わせで発生するようだ。

人間というどうしようもない生き物は、多くの場合において自分を過大評価し、自分だけは大丈夫だと思いがちのようだ。だがその一方で、自分の常識が世間の常識だとも思いがちである。そして実際に蓋を開けてみたとき、憶測を見誤って目標地点に全然たどり着いていないという事実や意見の大きな食い違いなどが見つかり、しかしながら時すでに遅しということが往々にしてある。報連相とか、モラルとか、マジ大事。

また、何事においてもトラブルというのは付きものである。大抵、納期直前になって大変なことが起こり、修羅場を招く。プリンターが壊れる、データが吹き飛ぶ、新型コロナウイルスに感染する、日時を間違える、書類の不備が発覚する、エトセトラエトセトラ。余裕を持った仕事、こまめなバックアップ、体調管理、スケジュールの確認、要項の熟読など、事前に対策できることは色々ある。何も知らずにそういう状況になったのならまだしも、歴史や経験から何も学ばないどころかリスクを理解していながら多少の対策も取らず、その度に修羅場を迎えているのはただのマゾヒストか、破滅願望があるか、そうでなければ阿呆である。

なんにせよ、何事もうまくいかない、という考え方に基づくことが修羅場を回避する近道なのかもしれない。

修羅場になったら

しかし、修羅場というのは必ず起こる。機関車トーマスも「事故は起こるさ」と言っている。こうなったら最後、「たたかう」か「にげる」か「ぼうぎょ」を選ぶしかない。待ったなしの状況である。

「たたかう」を選んだ場合、本格的な修羅場に突入する(というか、修羅場の語源からして戦いである)。何らかの方法を取り、その状況の解決を目指すことになる。かつての自分を恨みつつ、問題解決に知恵と時間を投入したり、お金で無理やり解決を試みたり、道理を説いて相手を説得したりするだろう。誠心誠意、謝り倒すというのも一つの方法(そして割と有効なことがある)である。「にげる」「ぼうぎょ」は、ハルマゲドンが起こる可能性があるので、進んでオススメすることはない(俺はこの選択肢を取りがちだが)。

物語というのは大抵、程度の差こそあれ修羅場だ。事故・事件が起こる、恋人が不治の病にかかる、宇宙人が地球に攻めてくる、突然孤児になる等々、枚挙に暇がない。例外といえば所謂日常系といわれる類のものか、『タタール人の砂漠』くらいなもんじゃないだろうか。状況のジェットコースターがコンテンツとなり、感情の起伏を生み出し、エンターテイメントとして消化できるものとなる。「状況を楽しめ」というようなセリフもあるけれども、あれは修羅場においては自分の気分の持ちようくらいしか、コントロールできることがないからなのかもしれない。

どちらにせよ、何事もうまくいく、何とかなるだろう、と思うことが修羅場を乗り越える秘訣なのかもしれない。

中野(Hr. / タタール人)

RECOMMEND 01_ノイズ

どうやら周囲の音に気を取られがちらしい。作業中、周りの人のおしゃべりの内容がどうしても頭に入ってきてしまうし、電話が鳴ったりすると一瞬で集中力が途切れてしまう。勉強しようと思って図書館などに行っても、静寂の中の一つの音が注意を逸らす(そもそも小説などを読み始めてしまう始末で、最終的に修羅場を招いた)。ガヤガヤするオフィスで黙々と仕事できる人はすごいなぁ、と思う次第だ。

結局、外部の音をシャットダウンして、やっていくしかないという結論に至った。といってもノイズキャンセリング機能を持つようなハイテクアイテムは持っていないし、イヤフォンから歌など流しても、そちらに気を取られてしまう。

そういうわけで、最近はホワイトノイズをリピートして聞いている。作業をするときには集中できるし、休憩したいときには落ち着くし、これは良い。修羅場のおともにどうぞ。



余談1:最近、『メーデー!:航空機事故の真実と真相』をちょくちょく観ており、めちゃめちゃ面白いなぁ!と思うのだが、よくよく考えたら航空機事故ほどの修羅場ってなかなか無いな。

余談2:新しく引っ越したアパートに敷設されているインターネット回線がCATVだったので、併せてケーブルテレビも契約したものの、先日解約した。結局、CNNとTBSニュースくらいしか見なかったな…

余談3:この記事を予約投稿したその日の夜、修羅場の到来を知らせる書類が届いた。「嗚呼、あんなことを書いたそばからこれか、どれだけ俺は阿呆なのだ…」と一人、悲嘆に暮れる。せめて今夜だけは許せ。

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