上げ過ぎたハードルの下で

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本コラムは団員の中野がきまぐれに金曜日にお送りするコラムです。
内容はすべて個人の見解であり、著者が所属するいかなる組織の公式見解ではありません。
なお、吹奏楽団のブログではありますが、話題がノンジャンルである点についてはご容赦ください。


THE LIVE 2022「うまいもん市」


新着情報

先週は練習がありました。来月は11日に練習が、26日にRec.があります。


コラムのコーナー

いくら口がうまくとも、上辺だけの愛想でごまかす人間は思いやりが足りないものだ。  

孔子

先日、ボスから手痛い指摘があった。先週の出張にて、先方の「これ、こうならないですかねぇ……?」という提案に対して、「(多分無理じゃねぇかなぁ、でもよく知らないから検討せねば分からんなぁ)とりあえず持ち帰って検討させてもらいます」と言って帰ってきた。今週、その報告をボスにしたら、「無理に決まってんじゃねぇか」と一蹴され、ボスから先方のボスに対して電話懇談、本提案は雲散霧消した次第である。「お前な、」とボスは言う。「そうやってなんでも期待させるような物言いは良くないぜ。大体どういう光景が繰り広げられたか、簡単に想像つくけどさ。お前はそうやって相手に期待させるようなことを言って自分で自分を追い詰めがちなんだよ。下手に期待させて、やっぱりダメでした、で信頼失うのは良くねぇだろ。無理そうなもんはその場で無理って言えよ。分かんねぇことは分かんねぇって言えよ」、と。

ボスからの指摘で、その日一日は「ウボァー……やっぱり俺人間向いてねぇなぁ……死ぬしか……?」と意気消沈していた次第である。これまでの半生を振り返ってみても、期待感を煽る物言いをし、追い詰められ、信頼を裏切り、時には嘘つきと罵られる……ということを延々と繰り返している気がする。

反省だけなら猿でもできる、と言われるが、同じことを繰り返して破滅しまくっている以上、俺は猿以下であることは確定的にあきらか。悲しいかな、進化を促してくれるモノリスは無く、問題を立ち所に解決してくれる銀の弾丸も無いので、なんでまたそういう風になってしまうのか、分析くらいはやってみよう。

要因その一。相手を喜ばせたいという気持ち。我々は既に世に生まれてしまった。その点はもはやどうしようもなく、後は死に向かって可能性の谷を転がり落ちるのみである。人生、苦しみ悶えながらなんとか生存することが本能としても社会的にも欲求される。「生れ落ちてしまった以上、せめて地獄の民同士、ちょっとでも仲良く楽しくやっていきましょうや……」という極めて後ろ向きの幸福追求がある。ゆえに、目の前にいる人くらいは喜ばせたい。たとえそれがぬか喜びでも。

要因その二。虚栄心。これはもうめちゃくちゃ分かりやすく、「おれはこんなことができるんだぜ!」という自己肯定したいがためである。実際には「おれはこんなことができる(かもしれない)んだぜ!」であるが。既に自己肯定感などは失われて久しいが、小学生くらいまで持っていたあれの味は、やはり忘れられないものである。

要因その三。いい人だと思われたい。ほとんどその一と変わらないが、あれは他者基準であるのに対して、こっちは自分本位だ。いい人だと思われると何が良いのか?やはり他人に嫌われにくいとか、虚栄心(ここでその二が出てくる)とかだろうか。

こうして要因を見ていくと、原因として、なんだかとてもグロテスクな後ろ向きな依存性とか社会性とかが見えてくる気がする。あんまり直視するとめちゃくちゃしんどいので、見ないふりをしよう。それよりも問題はいかにして同様の問題を引き起こすことなく今後やっていくかだ。

こりゃもう、根本解決しようと思ったら人と会わねぇというのが一番だ。人と会うから余計なことを言ってしまうのであって、人と会わねば口から災いが飛び出すこともなかろう。とはいえ、動物や草木と話をしているオッサンが山奥にいたらマジで狂人だし、そう言っているわけにもいかない。社会にあってどういう風にやっていくか考えねば。

妥協案としては、より自然に、かつわがままに、正直にやっていくことだろうか。何でもかんでも自分がやらねばならぬ道理はない。社会をバラしていけばそこには個人間の繋がりが残るのであるし、自分でできなさそうなことは、誰かにやってもらえばよい。それには信頼が必要だし、上げ過ぎたハードルの下を潜ったりぶち倒したりしている方がよっぽど信頼失うし…… 頼みごとをしたり、嫌なことを嫌だと言ったり、無理なことを無理だと言ったりしたところで、そうそう問題が起こるわけでもなく、それに、大抵は死ぬわけでもない……

そうは言っても、愛想というのは大事だ。人は一人で生きているわけでは無く、スムースなコミュニケーションというのは社会的に成立する上で不可欠だから。でも、大事なのはそれだけではない。愛想良くやった結果、ただでさえ地獄なのにさらに地獄に突き進むのじゃぁ、本末転倒である。それなら多少愛想が悪くなっても、自縄自縛の機会を減らす方がまだマシである。

それでもなお、人里離れた山奥に庵を立てて、霞を食って生きていきてぇなぁ。仙人になりてぇなぁ。と、そんなことを思う今日この頃である。


今週のリコメンド

猫戦

先日、遠くから友人のたっちゃんが遊びに来たので、夜に二人で「このアーティストがすごい2021」をやっていた。人によって刺さる音楽は異なるが、やはり良いものは良い。そして、彼の好みも良い。主に東南アジア諸国のインディーズバンドを中心にいろいろと教えてもらった。こちらからはこのコーナーで過去紹介したようなアーティストを紹介した。おかげで、このコーナーで紹介できるアーティストのリスト(しかも俺がキャッチできないような貴重な)が充填された形だ。

猫戦は京都を拠点とするバンドだ。シティポップっぽい音作り、ウィスパーボイスのボーカル、可愛い(変な)歌詞が、めちゃくちゃ気持ちいい。爽やか~な感じがいい。



余談1: “いい人”という点においては、今まで数えきれないほど「めちゃくちゃいい人なんだけどさ……」と言われてきた覚えがあるので、おそらく、既にいい人なんだろうな。

余談2: ダイエット近況。たっちゃんが遊びに来たので、横浜中華街で飲茶食べ放題に行ったところ、全て肉に変換されたらしい。あとピザとか食べたのが良くなかったな。66.4kg。

余談3: 紫煙のお時間。おうちシーシャ。新しく買ったハニーサイのUrban Sを試してみた。以前使っていた6,980円のセットと比較すると、かなりダウンステムの径が大きいので、エンジンでいうところの抜け(?)がたっぷり目になる。クレイトップに張るアルミに開ける穴を調整して、いい感じの吸い心地を探していこうと思う。あと、ステムが前よりも長くなったので、味がまろやかになった、気がする。

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