【コラム】映画と音楽のスイートな関係|La La Land

「流れ」いう点で映画と音楽は共通している。映画には独自のリズムがある。編集の仕方にも、カメラの動かし方にも、すべてにリズムがある。

ジム・ジャームッシュ(映画監督)

先日、京都のビアパブで隣に座ったお姉さんがホルン吹きだった。とても話が弾み、連休の予定、仕事の悩み、色々な話をした。音楽にも話がおよぶのは必然。かつての吹奏楽コンクール課題曲『風紋』が大好きらしく、「Youtubeの再生回数にかなり貢献している!」と豪語していた。今になって連絡先を聞いておけばよかったと後悔しても後の祭りである。

当然といえば当然だが、吹奏楽をやっている人は吹奏楽オリジナル曲、またクラシックあるいはジャズといったホーンセクションが入る音楽をよく聴いているイメージがある。マニアとしか言いようのない熱中ぶりを発揮している人もよく見かける。

個人的には他ジャンルの音楽に限らず幅広く色々なものを鑑賞し、様々なものに興味を持っておいた方が良いのではないか、と思う。もちろん、好きなものは人によりけりであり、個々人に音楽以外の趣味や専門があるのは承知の上で、だ。
文学、映画、絵画、彫刻、アニメ、ゲーム、スポーツ、歴史、哲学、風俗、文化、宗教、化学、物理学、 ICT、最新のニュースやテクノロジー、etc.
一つの事象に対するとき多面的に理解できたほうが楽しいし、物事が有機的に繋がったときの快感がすごい、というのが専らの理由である。

幸か不幸か時間もあるので、こういった音楽の周辺分野(音楽に全く関係の無いこともあるかもしれない)コンテンツに関するコラムを定期的に書いていこうかと思っている。
いわば中野が落ちながら戦うタイプのコラムであり、言い換えれば迸る自己承認欲求の表出。
お付き合いいただければ幸いである。

映画と音楽のスイートな関係

バスター・キートンやチャップリンの時代、映画はモノクロでサイレントであった。やがて音楽が差し込まれるようになり、トーキーになり、カラーになった。
今では座席が映画に合わせて動いたり光ったり水が出てきたり空気が出てきたりで、これはもう遊園地のアトラクションみたいにすごいことになっている。(劇場関係者の皆様には申し訳ないが、個人的には集中して観られないし、コーラを飲むタイミングを見計らう必要があるのであんまり好きではない)

今日の映画には音楽が効果的に取り込まれ、感情を煽り、印象を残す。
言うまでもなく、昨今の映画において音は重要な一要素だ。 もしジョーズのテーマとかゴジラのテーマが『帰って来たヨッパライ』だったら緊張感もあったもんじゃない。パニックからコメディへの急転直下。
映画として盛り上げ、「筋」を通すためにも音楽は非常に重要である。

当然のように映画音楽から名曲が出てくる。名作故に音楽が有名になり名曲として知られることもあれば、名曲故に映画が有名になることもある。
映画音楽、特にメインテーマは基本的に印象的で、映像・ストーリーと一緒に刻み込まれるので強い。映画の名曲は名曲たらしめる理由がそれなりにあるのだ。

そういえば、吹奏楽の演奏会において映画音楽(特にジブリやディズニー、ハリウッド映画が顕著だ)が頻繁に演奏される。
この背景には、第一に奏者・観客好みの曲を演奏したい、 第二に曲としてコンパクトに完成されている曲を演奏したい、 そして、第三に皆が知っている映画の曲を告知することで動員を増やそうという魂胆が見え隠れしているようだ。
第三の理由をメインでセットリストを組む、中野のようなマネジメント気質、有り体に言えば下衆、な人間もいる。曰く、「お客さんが聴きたいと思える音楽をやるべきだ!そして近所のおばちゃんは『前前前世』は知っていても『祝典序曲』は大抵知らない!」

La La Land

長距離のフライトというのはまったくもって苦痛である。10時間オーバーともなれば計画的に時間を過ごさないと悲劇的な上陸を迎える。
大抵、搭乗前に睡眠薬を一服、搭乗後に睡眠をキメることにしているが、それでも機内食やら機内放送やらで頻繁に目覚めるし、そもそも人間は揺れる飛行機の中で長時間寝られるようにはできていない。
そのような暇を持て余したフライトの中の映画。砂漠の中のオアシス。天にかかるヤコブの梯子。La La Landを初めて観たのは、そんな揺れるアリューシャン列島上空。

La La Land。アカデミー賞とか沢山取っており、テレビでも放送されているので既に観た方も多いと思うが、ロサンゼルスを舞台にしたミュージカル的恋愛映画だ。渋滞にハマっている高速道路上でいきなり大勢が歌い、踊りだすオープニングが有名なアレだ。映画を観たことのない方もオープニングはラジオとかで聴いたことがあるかもしれない。
監督はセッション(原題:Whiplush)でも有名なデイミアン・チェゼル。
ライアン・ゴズリング演じる今やBGMが主流となってしまったジャズを復活させたいピアニストと、エマ・ストーン(かわいい)演じるハリウッド女優を目指すスタバのアルバイト店員が主人公だ。
いつ「Fxxxin’ Tempo!」とか言い出すか分からなくてハラハラするJ・K・シモンズも出てくる(相変わらずのキレ芸を見せてくれる)。

詳細は伏せるが、夢を追い求めるがなかなかうまくいかない二人が恋に落ち… 理想と現実のギャップで苦しみ… 仲違いするものの色々あり… そういう映画だ。ベタベタな展開ながらも、良い映画なのでは、と思う。
何より、ライアン・ゴズリングとエマ・ストーン(かわいい)が目を合わせ、色々な感情が含まれた表情を浮かべるラストカットが何とも素晴らしく、心を掴んで離さない。

音楽が良い。冒頭や時折挿し込まれるアッパーなミュージカル的な音楽が良い。ライアンはジャズマンなのでジャズネタがいっぱい入っており楽しい(そして考えさせられる)。何より最終章、ピアノの繊細で物悲しい旋律から始まる音楽と映像のハマり具合。

まだLa La Landを観たことが無いのであれば是非観てほしいし、観たことがある方ももう一度観てみてはいかが。Amazon Prime、Hulu、Netflixで観られるのは確認した。 有名な作品なのでレンタルもあるだろうし、休みの日のお暇な時にいかがだろうか。

【次回】インターネット情報配信サービス

中野(30代・男性・Hr.・レッドスーツ)

余談1:好きな映画を5本挙げろと言われれば、『グラン・トリノ』『MIST』『SEVEN』『TOY STORY 3』『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ モーレツ!オトナ帝国の逆襲』の5本である。

余談2:あんまりLa La Landについて語ると「男っていつも『恋愛は名前をつけて保存』だし、中野くんはホントにそういうの好きだよねー。そういうところがめんどくさいのよ」とか色んな人から後ろ指を指されそうで怖い。

余談3:「3回連続で逆噴射文体というのはイカンよ」と師匠からダメ出しを喰らったので文体をオリジナルに戻す。


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