ダムと呼吸法

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なお、個人の見解であり、所属するいかなる組織の公式見解ではありません。

ニュース

大事なおしらせ

以前より告知させていただいているとおり,2020年10月10日(土)に予定されていたThe Live 2020は延期となりました。詳細につきましては、お知らせのページならびにYouTubeの動画をご覧ください。

YouTube

The Rec vol.2の動画が投稿されはじめました。

ウケのいい半沢直樹。
うちの指揮者はトランペットがうまい。

コラムのコーナー

上善は水の若し。
水は善く万物を利して争わず。
衆人の悪む所に処る。
故に道に幾し。

老子

ダムの話

先日、ダムを巡った。

良いニュースがある。このCOVID-19の騒ぎで配布中止になっていたダムカードの配布が11月1日から再開された。諸兄はダムカードをご存じか。ダムに行くともらえるカードだ。さっそく、相模川水系のダム(相模・道志・石小屋・宮ケ瀬・本沢・城山)を巡る。

呆れんばかりに晴れ渡った空の下、山あいの曲がりくねった道をバイクでトコトコ走っていくのは楽しくて仕方がない。谷のヒンヤリした空気。吸気。鳥のさえずり。圧縮。こもれび。燃焼。川のせせらぎ。排気。

おれは別に、ダムそのものが特別に好きなわけではない。世の中には巨大構造物や工場を見て興奮する人も多い。たしかに、かれらはデカくて美しい。だが、それそのものよりも、そのシステムが好きだ。大山崎ジャンクションは道路交通網の中にあってこそ美しいし、川崎の製鉄所は日本国内製造業の要であるからこそ価値があり、ダムは大いに水を湛えて人間の役に立つからこそ良いのだ。ああいうものを見ると、人間の力と罪深さを感じざるをえない。もし何もないところに無意味に巨大な構造物があったら、それはもうコズミックホラーの世界になってしまうだろう?

そういったもののなかでダムが特に良いのは、その立地にある。たいてい、人里離れた山の中にあり、訪れるのも一苦労だ。その道中は楽しくもあり、苦しくもある(主に道路の幅やカーブの点で)。苦労してたどり着いた先は人の気配もほとんどなく、ただただ静かに湖畔や川の流れがあるのみ。そうやってぼんやりしていると非常に穏やかな気持ちになる。

そういった記念が、ダムカードなのだ。酒を飲み、気まぐれにこれまで集めたカードを眺めてその風景を反芻するっていうのは、意外と良い。だから、ダムカードの配布が再開されたのは、ダチアの新型車が出たくらいのグッドニュースなのだ。Good news!

さて、特に興味はないかもしれないが、ダムにもいろいろ種類がある。素材がコンクリートのもの、土のもの、岩のもの。コンクリートにはそのものの重量で水をせき止める重力式(宮ケ瀬君)と、岩盤で水をせき止めるアーチ形(黒部君)などがある。個人的には、ロックフィルの表情が好きだ。風情がある。

宮ケ瀬湖の湖面の高さは現在286m。毎秒、10tの水が流入し2tの水を放出している。毎秒である。毎秒、大人のオスのアフリカゾウが高さ約300mに出現し、自然落下をするところを想像して欲しい。途方もないエネルギーだ。

人間の歴史は治水の歴史でもあり、水を湛えて飲み水にしたり、農業用水にしたり、工業用水にしたり、発電をしたりする。流量をコントロールすることで下流の水量をコントロールして洪水を防いだりもしている。 地形や地質を調査して最適な場所を探し、沈む村があれば説得し、途方もない質量の構造体を建造し、その後もコントロールし続ける。そういう人の営みも、感じることができる。

本沢ダムの堤防上から。ススキが良い感じだった。
城山ダム(写真奥)。ダム湖の周辺は公園がたくさんある。
子連れでピクニックをしている人や犬の散歩をしている人が多くいた。

呼吸法の話

ホルンの練習も引き続きボチボチとやっている。最近発見したことと言えば、「やっぱり息はたっぷり吸っていっぱい入れて吹く方が良さそう」という至極あたりまえみたいなことだ。

基本中の基本だけれども、よくよく考えれば不思議な話である。金管楽器であれば唇が震え、あるいは木管楽器であれば息でリードを震わせて、楽器によって増幅されたりして音を奏でる。「いっぱい量を入れれば良いんだな!」とありったけの力で吹いたら、「ひょっとしてこいつはあほなのか?」という視線が刺さるはずだ。それでも、一般的には「たっぷりやれ」、という。

あれは思うに、意識の問題なんだろう、と思う。疲れまいと省エネを心がけてやっていると、どうしても最小限の力で最大限のアウトプットを出そうとしてしまう。だが、小さい力で大きな力を制御すると、超狭い範囲での繊細なコントロールが求められる。ちょっと動かしただけで針が大きく振れるダイヤルを回して、ピタリと値を合わせるようなものだ。それには相応の集中力と職人芸が必要だ。そして人は疲れる。長くその状態を続けるのは無理がある。

であれば、ダムと同じで、大きく余裕を持った方がコントロールしやすい。 無理なくたっぷりと息を吸い、十分な余裕を背景に出力と結果をコントロールする。大事なのは、自然体でやる、ということか。意識しすぎて変なところに力が入っていたり窮屈な姿勢だったりすると無理が出る。吹く方に一生懸命になってしまうと、どんどん呼吸は浅くなっていってしまい、破綻する。無理に吹こうとしてこじ開けるように音を出すと角が立つ。水と同じく息もまた、意識して制御下に置きつつ自然に委ねるようにやるのが、どうもよさそうである。

ああ、水のように柔軟にかつしなやかに、そして風の無い日の湖面のようにおだやかにあれればよいのになぁ、と思う今日この頃である。

今週のリコメンド

青葉市子

透き通った歌声と一本のクラシックギター。聴いていると幻想的な雰囲気に呑まれそうになるシンガーソングライター。今年、デビュー10周年。

くたびれて帰ってきた日、揺らめく火をぼんやり見ながら、酒をちびちびと飲み、青葉市子とか聴いたりする秋の夜長っていうのは、結構、良い。


余談1: 日本酒、本当にいろいろあるけど、どんな料理と一緒に呑んでもおいしいので上善如水が一番好きって話がある。

余談2: ツーリングをしているといろんなバイクとすれ違う。ブンブンと手を振ってくれる人とかもいて、思わずにっこりしてしまった。ヤエーをする人、そして返してくれる人に悪い人はいない、とおれは思う。それから、緑と黒の格子柄のマントをたなびかせて走っている人もいた。ネタに走る人がいても、いい。

余談3: 角煮が無くなっていてびっくりした。


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