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この記事は、毎週金曜日、団員の中野がお送りするコラムです。
なお、このコラムは個人の見解であり、所属する組織の公式見解ではありません。

今週のアップデート

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2週間後に完成する『キン肉マン GO FIGHT!』

プリラジ！

コラム

誕生日を迎えて

先日、誕生日を迎えた。また徒に齢を重ねてしまった。先の一年はまったくもってやる気の無い一年であったし、誕生日を迎えたところで心機一転ということも全くなく、このままダラダラとした一年を過ごすことになりそうである。とはいえ四捨五入すればまだ0歳なので、50歳になったら本気を出そうと思う。

誕生日だし何か良いことがあるかなぁと思いつつ公園のベンチで涼んでいたら、突然右耳の具合が悪くなった。自分の声も含め低音があまり聞こえず、かわりに轟轟という低い耳鳴りがする。一日すれば治るかと思ったが翌日も良くならず、仕方がないので15世紀ぶりに耳鼻科に行った。聴力検査したら見事に低周波域が聞こえておらず、計測グラフがハイパスフィルタの例みたいになっていた。「突発性難聴かメニエール病かでしょうなぁ、お薬出しときますから、また来週来てください」とのこと。

耳が遠くなるとQOLがガタ落ちする。音楽が好きなら倍、演奏もやっているならさらに倍である。コンビニの店員さんの声が聞こえない。マジで絶望すらした。みんな耳とか労わってあげてあげよう。スピーカーの前に陣取って踊るのもめちゃくちゃ楽しいんだけど、耳栓とかしような。お兄さんとの約束だ。最近はそういうイベントに全然行けてないけど。

世間では、ようやく梅雨が明けたと思ったら一転、カンカン照りで気温も急上昇。マスクをしろ、でも熱中症にも気をつけろ。そしてCOVID-19の陽性者はゴリゴリ増える。温野菜がガス爆発し、ベイルートでは家や穀物庫や港が吹き飛び、大阪府知事は阿呆な会見をし、町からイソジンが消えた。

クソが。この世の終わりか！いっそのこと終わってくれ！カモンアポカリプス！天使を6柱集めてトランペットアンサンブルさせるべし！

盆に帰らず

そういうわけで、盆の帰省は断念することにした。俺自身はどうなろうと構わないけれど、移動するとキャリアとなって拡散させるおそれがけっこうある。実家に帰って既にロスタイムに突入している婆さんならびに結構な年齢になってきた両親に感染させてしまい、うっかり命を落としてしまおうものなら、死んでも悔やみきれないだろうことは容易に想像できるし超怖い。俺もおまえも既に感染しており、町ですれ違う人々も感染していると思って行動せねばなるまい。ゆえに家に引きこもり、覇王翔吼拳を使わざるを得ない。

ご先祖を迎え、もてなし、送り返すことで弔うのがお盆であるけれども、ロメロよろしく死者が復活するわけではないので、結局は生きとし生けるものの為のイベントである。親戚同士で集まって関係性のメンテナンスをしたり、ご先祖様に感謝したり、ひいては万物に感謝したりとか、そういうイベントだ。大事なのは各々の心のありかたであるので、状況を鑑み、各々で盆をやっていきましょう。Mr. Fukusuiはこのことを予見していた…？

皆さんもそうであると思うけれども、普段何気なく生活していても『人の死とは何なのか？』という問題はちょくちょく沼から顔を出すものである。しかしながら一般には野球と政治の話くらいアンタッチャブルな話なので、他人の考えに触れることがあまりない。でも、そんなんでいいんかね？と言いたい。ワイドショー、クソ会見の中継してるくらいなら、嘱託殺人案件をもっと深堀りして、そういう話をした方がいいんじゃない？

思うに、死には以下の4段階くらいがあるんでは、と個人的には考えている。

1. 肉体的死： いわゆる一般的な医学的な死。心臓が止まったり、脳の機能が停止したり。
2. 遺伝的死： 遺伝子の途絶えた状態。子を残さず肉体的に死んだらもれなく遺伝的死だ。ご先祖様はまだあなたの中で生きているのだ…
3. 記憶的死： どこにも情報が残らず、誰も覚えておらず、知られもしなくなった状態。昔、古文の先生が「那須与一はまだ生きている」と言っていた。
4. 影響的死： 他人・社会・世界・宇宙になんら影響を及ぼさなくなった状態。宇宙が熱的死を迎えるまで訪れないかもしれない。

お盆に限らず法事というのは2番目・3番目の部分が大きく、死者を思い出すことで記憶として生き永らえさせる、人類の編み出した冴えたやり方である。昔の人はいいこと考えるなぁ。

そういうわけで、まずはご先祖様を弔ったうえで…　もし余裕があれば友人知人…　さらに余裕があれば人類…　貴方がもし海よりも深い愛を持つのであれば、かつて存在したあらゆる宇宙の生命ひいては万物…　せめて一年に一回くらいは、そういうことに思いをはせてもいいのでは？ みんながそうすれば、ちょっとは人にやさしくなれるし、ちょっとはいい世の中になるんじゃないかと思う今日この頃である。

今週のリコメンド

音楽：in the blue shirt

関西出身のトラックメーカー（調べるまで西海岸出身だと思い込んでいた）。ゴリゴリに加工された声＆ドンツク感が病みつきになる。Porter Robinsonやmadeonっぽい。こないだ出た新譜の『in my own way e.p.』が良かった。

本：四畳半タイムマシンブルース

敬愛する森見氏の新刊が出た。久方ぶりの腐れ大学生もの、しかも『四畳半神話大系』の続編である。タイトルのとおり時間旅行を扱っている。前作を読んでいないと「なんじゃこりゃぁ！」ってなりかねないので、余裕があれば先に『四畳半神話大系』を読んでおくこと（アニメも可）。超サクッと読めて良い。舞台が8月11日と12日だし、今読まずしていつ読むの？って感じ。クリスマスイブには『太陽の塔』を読め。中村先生の表紙も良い。相変わらず明石さんはかわいいし小津は胡乱だし樋口師匠は最高だった。

余談1: 耳の治療のために水薬が出ているんだけど、病院ですこぶる味が悪いと脅された。曰く「ウーロン茶のまずいところだけ濃縮した感じ」。いざ飲んでみたら、まさにウーロン茶から爽やかさを取り除いたような味だったけれど、個人的には悪くないと思った。シャルトリューズ的な旨さも遥か彼方にある気がする。超遠いけど。肝心の耳は、薬を飲んだらず良くなった気がする。体感で40dBくらい良くなった。

余談2: ベイルートの爆発関連で、人によって引き起こされた核爆発以外の大爆発一覧を読んだ。どっひゃーってなったのでおすすめ。夏休みだし、自由研究として知見をまとめてみるのもいいかもしれない。安全第一だよマジで。

余談3: 京都、今年の送り火は規模を縮小し、点でやるとのこと。葵祭も祇園祭も今年は例年通りじゃなかったし、本当に寂しい一年だ。ところで送り火のことを現地で「大文字焼き」と言ったら死ぬほど馬鹿にされるので各々ご注意されたし。ぶぶづけとか食わされるぞ。