吹奏楽団インプリメーレでは団員を大募集中です。
詳しくは文末の団員募集のバナーからアクセスください。
この記事は、毎週金曜日、団員の中野がお送りするコラムです。
なお、このコラムは個人の見解であり、所属する組織の公式見解ではありません。
今週のアップデート
YouTube
お知らせ
7月10日(金)の21:30に、第9回定期演奏会(2年前)のプレミア公開があります。この記事が公開された数時間後です。もし暇だったら聴いてください、よかったらコメントとかしてください。
ソフトバンクホークスとボストンダイナミクス
先日、Twitterを眺めていたら、Spot君たちとペッパー君たちがソフトバンクホークスの試合で応援をしている動画が流れてきた。コロナ禍ここに極まれり、である。
なぜボストンダイナミクスのSpot君なんだろうか。それも自社のペッパー君を差し置いて…。 ちょっと調べてみたら、ソフトバンクがボストンダイナミクスを2018年に買収していた。だから高額なロボットもこれだけ並べられたのか。なるほど、ソフトバンクの広報活動にまんまと乗せられたというわけだ。というか、Spot君、君は一台800万円なのか… 思っていたより安いな…
ボストンダイナミクスについて少し触れておくと、MITからスピンアウトしたボストンのロボット会社だ。四足や二足歩行のロボットが強い。エンジン音のうるさいBigDogや、パルクールとかバク転とかするAtlas君が有名だ。最近は倉庫自動化ロボットとかも開発している。DARPAと一緒に仕事したり、一時はGoogleの子会社だったこともある。
Spot君を見て、非常に感慨深い気持ちになる。高専で制御工学をやっていた頃にBigDogの動画を見て「しゅごい… 姿勢制御… これからはロボットの時代やな…」と思ったものだけど、まさかその後継機をホークスの試合で見ることになるとは。
ロボットは良い。黙々と作業を続ける様は、見ていて美しいと思える。その効果も使う人次第、というのも良い。良かれ悪しかれ、指示されたようにしか動かないのがロボットだ。 「ロボットが人間に反乱を起こす!」とかいうのは基本的に『ターミネーター』の観すぎか『我はロボット』の読みすぎである。人がロボットアームにぶつかってケガをしたとしても、それは反逆じゃなくて単なる事故だし、もしターミネーターとかロボコップみたいなな事件があっても、それは結果的にそうなるように作ったやつが悪い。どっちにしても創造主の責任だ。神よ、聞いているか。
工場やプラントで産業用ロボットがどれだけ世の中で活躍していることか。危険な環境下の作業や精密作業、単純作業においてよく使われているし、馴染みのない人でも必ず知らぬところで随分と恩恵に預かっているはずだ。コーラやビールの瓶詰・封緘作業とか。
こういったSpot君みたいな、汎用性の強くてそこそこ現場で使えそうなロボットが出てきた、というのは人の在り方や働き方を考えるいいきっかけであるのかもしれない。「ロボットが人の雇用を脅かす!」というのはある種、マジ。今後は、ロボットと人間の分業をもっと考えないといけない時代になってくるのだろう。1965年のNASAの報告書にあるように、「人間は非線形処理のできる最も安価なコンピュータシステムである。しかも重量は70㎏程度しかなく、未熟練の状態から量産することができる」、である。単純労働や人間には難しい作業はロボットに、複雑な労働(コミュニケーションとか)や創造、それからそれこそ、ロボットの管理は人間に、というのが理想的なんじゃないか、と思う。
実際、Spot君も実証実験が色々されていて、日本においても電力会社や建設会社の巡視業務や測量業務などへ導入されているらしい。少子高齢化で労働人口減少甚だしい日本だ。点検、巡回、倉庫作業のようなシンプルな仕事をロボットにやってもらおう、となるのは至極当然のように見える。そして、人はさらに創造的な仕事に就くべし、という流れになる…んじゃないかなぁ。もちろん、普及していく中でラッダイト運動的なことも起きるだろうけれど。
しかし、踊って『応援』するのも、音楽を演奏したり聴いたりして『楽しむ』のも、人に寄り添って感情移入するのも、BigDog Betaのようなパロディを生み出すことができるのも、今のところロボットやコンピュータには難しそうだ。ドラえもんやアトムみたいなお友達になりうるロボットはしばらく無理みたい。やっぱりそのへんは人間に一日の長がある。そんなことを、今回のロボットダンスから思いました。
参考にしました
- Boston Dynamics
- Boston DynamicsのSpotとPepperのロボット軍団が福岡PayPayドームでソフトバンクホークスを応援
- 【速報】鹿島建設が四足歩行ロボット「Spot」(スポット)を正式導入 トンネル工事現場で有用性を確認 ボストンダイナミクスの最先端技術が実践へ
- 【速報】ボストンダイナミクスの「Spot」が今度は電力会社で活躍へ 中部電力が電力設備における巡視業務で実証実験
- カレル・チャペック『RUR』
- アイザック・アシモフ『我はロボット』
- エリック・ブリニョルフソン、アンドリュー・マカフィー『ザ・セカンド・マシン・エイジ』
- P. F. ドラッカー『現代の経営』
- Wikipedia: 労働塊の誤謬
RECOMMEND: 小瀬村 晶
東京出身のミュージシャン、作曲家。ピアノ曲が良い。アンビエント系の方面感も強い。映画音楽やCM音楽なども手掛けていて、中学聖日記の音楽もこの人だ。
余談1: バンドの練習が再開されるものの、長距離移動を伴う上、住まいがCOVID-19陽性者激増エリアに近いので、あんまり移動したくねぇなぁ… ということで個人的にはもうしばらく練習に参加できなさそう。すまないなぁ、と思っています。完全に言い訳です。
余談2: ロボットといえば、RPAがちょっと前に(今もか?)流行ったけど、あれは正直どうかと思う。個人的な見解で言えばクソなのでは…? たしかに自動化で効率は上がるんだろうけど、その前にそれ自体の効率化はできているのか…? 自動化したらそれはそれでブラックボックス化しない…? メンテナンス大丈夫…? っていうかえらいソフトが高いけど、マクロとかで十分では…? みたいなことを当時思いました。
余談3: 後輩の夢に登場したらしく、LINEが来た。夢では、お弁当屋さんを営んでいたそうだ。