ビールを飲んでHeavenへ行こう!

ビールを飲む者は床に着くのが早い。
長く眠る者は罪を犯さない。
罪を犯さない者は天国に行ける。
よってビールを飲もう!

マルチン・ルター
思想家、宗教改革者

先日、東京は両国にあるビアパブ、POPEYEに行った。連休中ということもあってか、まだ夕方前にも関わらず店内は人でいっぱいで、陽気な声で溢れていた。POPEYEはタップ(ビールを注ぐための蛇口みたいなやつだ)の数がヤバイ。なんか70タップくらいある。近所のビアパブでビール好きの聖地だと聞いていたが、百聞は一見に如かずである。ビールは劣化が早く、早々に消費しないと品質の劣化が起きる。だから、大抵の店は10タップ以下、多い店でも20タップ程度と聞けば、ヤバさが分かってもらえると思う。

今、クラフトビールがまた熱い。いや、ビールそのものは熱くはないんですけど、もはや第何次か分からないが、再び日本にクラフトビールブームが来ている。今回はクラフトビールについてやっていこう。酒の話が続く?細かいことはいいんだよ。

クラフトビールって何よ?

日本でビールと言えば、キリン(一番搾りとか)、アサヒ(スーパードライとか)、サッポロ(黒ラベルとか)、サントリー(モルツとか)のいわゆる4大メーカーが有名だ。あとはオリオンか。居酒屋とかでよく飲むと思う。舶来品だとバドワイザー、ハイネケン、ギネス、コロナ、青島、シンハーなんかも見かけるね。

クラフトビールはそういった大手ビール会社とは異なる、小規模な醸造所がつくる、多様で個性的なビールのことだ。地ビールとも言えよう。コンビニやドラッグストアで、よなよなエールや水曜日のネコというビールを見かけたことがある方もおられるだろう。作っているのは軽井沢のヤッホーブルーイング。クラフトビールの流通量なら日本最大ではないか?

日本では1994年、酒税法の改正により地ビールが解禁されて地ビールブームが来たがあっという間に収束した。ところがここ最近、日本各地にクラフトビールが飲める店とブルワリーが増え、ブームが再燃している、ように見える。ビール好きはこの火を絶やすまいとせっせと薪を焚べ、麦汁を沸騰させている。

クラフトビールの魅力

上に挙げた居酒屋で飲むような有名なビールは、ピルスナーと呼ばれるビールが大半だ。一口にビールと言っても、ピルスナー以外にも色々な種類がある。酒類だけに。ペールエール、ベルジャンホワイト、IPA(インディアンペールエール)、セゾン、スタウト、ヴァイツェン、フルーツビール、サワーエール… 他にもいっぱいある。細分化するときりがない。このあたりの違いは本でも読んで調べてね。面倒臭いとか詳しくなりすぎるとかではない。イイ男は多くを語らないものなのだ…

僕もそうだが、ピルスナーの苦味がダメだという方もいるだろう。極度乾燥を飲んで「苦くね?こんなもんよく飲むな?」という人にこそ、クラフトビールを勧めたい。よく見かけるピルスナーを飲んでビールを嫌いにならないで欲しい。クラフトビールは貴方の思っているそのビールと味・香りが大きく違う。まるで珈琲のようなビール、酸っぱいビール、パイナップルやマンゴーの甘みあるビールなど、個性的なビールが沢山ある。ビールの間口は実に三十三間堂くらいある。ぜひとも色々トライしてみては如何か。お気に入りのビールが見つかるはずだ。

色々調べていたらビール女子というサイトで、色々なビールを擬人化していた。かわいい。様々なビールの雰囲気や特徴を知るためにはちょうどいいかもしれない。
https://beergirl.net/beerchara/

メニューを見てたら、ABVとかIBUとか出てくるかもしれない。前者はアルコール度数(Alcohol by Volume)、後者は国際苦味指数(International Bitterness Units)だ。エビスがIBU25で、スーパードライはIBU16らしい。好みのビールを探すときに参考になるかもしれない。

ところで、クラフトビールをゴクゴク飲むのはもったいない。一口一口、味を確かめるようにチビチビ飲むのが良い。最近気がついたことだが、思いの外、人は食べたり飲んだりする時の味に無頓着であるようだ。普段の食事から、舌と歯と鼻腔に神経を集中させて目一杯に解像度を上げて味わってみて欲しい。意識次第で世界は変わる。あと、ビールを飲むときは水も飲もう。お兄さんとの約束だ。

蛇足|好きなブルワリーとかお店とか

玉村本店

北信州は志賀高原の麓、渋温泉の中に清酒『縁喜』の酒蔵、玉村本店はある。そんな酒造である玉村本店が作っているクラフトビールが『志賀高原ビール』だ。

今やすっかり日本のクラフトビールの雄だ。ここのIPAは、クラフトビールにハマるきっかけになった思い出深いビールであり、初めて飲んだときの衝撃と感動は忘れられない。何回飲んでも安定して素晴らしく美味しいというのはスゴい。

限定で米メイン州の OXBOW とコラボした、木樽熟成 山伏 / ore no sake ga nome ne nokaが本当に素晴らしかった。過去形なのは限定品で既に完売したからだ。原料の大麦・小麦・蕎麦は自家栽培、主発酵はイチローズモルトの樽で行い、およそ7-8ヶ月の熟成させた後、さらにワイン樽で1年の熟成。その後、瓶内発酵とさらに1年の熟成を経てリリースという、とんでもないビールだ。ビールともワインともウイスキーともつかない(ビールです)、素晴らしい香りと味。買っておけばよかった。

SNOW MONKEY BEER LIVEという音楽とビールのフェスも開催しているぞ。行くしかないな。

Kyoto Beer Lab 京都ビアラボ

古都京都でオーストラリアからやって来たトムさんがブルワーを担当している。ブルワリーであるとともに、パブも併設しているぞ。外国からやって来た観光の方たちがひしめき合い、めちゃめちゃ国際色豊かな場所だ。

京都らしく、お茶を使ったビールもある。定番のほうじ茶スタウトは「もはやほうじ茶では?」というほどお茶の香りが立ち、かといってスタウト感も失われておらず美味しい。レイジーシリーズも美味いが、基本的に直売のみ(らしい)なので、是非タップルームへ足を運んで欲しい。どんどん新作を作っており、いつ行っても新しい味に出会えるのが良い。ここの『わさび塩ゴーゼ』は個人的なイチオシだ。

店の前には高瀬川が流れている。天気が良い日には縁側に座ってせせらぎを眺めながら飲むことができる。春には散った桜の花弁が川を流れ、これはもう見事としか言いようのない花筏が見られる。そしてビール。最高だな?

Mikkeller Tokyo

渋谷道玄坂、109の裏手のクラブや風俗店・ラブホテルが立ち並ぶ路地の中、千代田稲荷神社の向かいにデンマーク発のクラフトビールのお店がある。初めて行った時には道に迷った。あの辺り、ごちゃごちゃしてるし道は曲がりくねっているし、方向感覚が狂うんだよな。

20のタップにミッケラーのみならず、世界中のビールが提供されている。一階のオープンテラスの他、二階ではゆっくり座れる席もある。行く度、いつもオープンテラス席では多種多様な国籍の人がワイワイガヤガヤとやっており、パブ感がスゴい。

ミッケラーの面白いところは自前で醸造機材を持っていない、ファントムブルワリーと呼ばれるブルワリーだったということだろう。醸造機材を持っていないのにどうやってビール作ってんの?と疑問に思うが、Mr. ミッケラーが「こんなビール作ってよ」とレシピを持ち込むらしい。そういうのもあるのか… 今は自前の醸造所持ってるってさ。

毎月、ランニング後に一杯飲むという、クレイジーなイベントも開催しているぞ。ミッケラーの向かいにある、ジンギスカン屋の羊一もおすすめ。ビール飲んでからジンギスカン、最高じゃない?

高野麦酒店 TAKANOYA

京都御苑、烏丸丸太町(カラスまるまるふとっちょ)から下ったところにあるクラフトビールの専門店。ここの面白いところは、外国産のクラフトビール・海外出身ブルワーのビールだけを提供しているところだ。 ここでわさび塩ゴーゼを飲んで衝撃を受け、サワーエールにドハマリした。

国内のビールは随分と飲めるところが増えてきたが、外国産、特にアメリカ以外のクラフトビールをタップで飲める場所はまだまだ少ない。輸送費とか考えればやむ無しとは思うが… そういう意味で、個人的に貴重なお店だ。

御所を散歩して、少し汗ばんだところでビールを飲む? 二条城を観光して歴史を感じた後にビールを飲む? 京都国際マンガミュージアムでマンガを読みふけって余韻に浸りながらビールを飲む? どのシーンでもしっくり来るのは良いことだ。

また、近所に一号店であるTAKUMIYAもあり、こちらは国内のビールを中心に扱っているので、ハシゴするのも楽しいだろう。どうでもいいことだが、このコラムの初回、風紋について熱く語るお姉さんに出会ったのもTAKUMIYAだ。もし本人がここを読んでいたら連絡ください。また飲みましょう。

TYU

築80年の商店兼住居がリノベーションされてビアバー兼ヘアサロンになった。色々なクラフトビールのお店には行ったが、髪の毛を切ってくれるお店はここしか知らない。 京都ビアラボへ行ったとき「あの店には取引いただいているが、一体どんな店なんですか?」と聞かれた。そりゃ疑問に思うわな。

雰囲気は開放的で超気楽。 つまみも美味い。音楽のチョイスも良い。もちろんビールも美味い。タップで注いでくれる国産のビールの他に、珍しい外国産のビールやサイダーなんかもあり、いつ行っても色々な楽しみ方ができる。

サッカー中継、英会話、ボードゲーム大会、落語&講談、シルクスクリーンでTシャツ作り、ちょっとオトナな講演会など、頻繁に多種多様なイベントが開催されており、めちゃめちゃ面白い。人が集まり、ワイワイやっている。地方都市でもこんな良い場所が作れるんだなぁ、といつも思う。本当にお世話になっております。

まとめ

是非、良いブルワリーやパブがあったら情報共有して欲しい。メールフォームとかもあるので… 公式ツイッターアカウントとか、筆者個人のツイッターアカウント(頑張って見つけてください)に送ってくれてもよいです。

昼から晴れの空の下、ビールを飲むってのは人生の中でも最高の贅沢の一つだ。夜に友人と談笑しながら飲むビールも良い。朝からというのも…ひょっとしたら良いかもしれない。みんな、ビールを飲んで天国へ行こう。お酒は二十歳になってから。

【次回】ウイスキーが、お好きでしょ

中野(Hr.・ サワーエールちゃん推し)

文献・リコメンド

最近出版され、評判も良いらしい日本のクラフトビールの本。(未読です)
好みの一杯を探すのにもってこいではないだろうか。
出版社がシンコーミュージックってのが良いよね。お世話になっております。
全国のクラフトビールのブルワリーや飲食店で手に入る、フリーペーパー(季刊誌)。
フリーペーパーで良いのか?と思う情報量。日英併記なので、英語教材としても最高だ。
公式ウェブサイトはこちら
一部からのリクエストがあったので、リコメンドコーナーを新設しました。
今回はシンガーソングライター青羊のソロプロジェクト、けもの より『ただの夏』。
なんか、声が滲みたので。 

余談1:舞鶴高専吹奏楽部の定期演奏会は無事に終了しました。ご来場いただいた皆様、ありがとうございました。僕は元気です。

余談2: アメリカ西海岸のオレゴン州ポートランドがクラフトビールの聖地となっている。行きたい。また、当地では最近はサイダー(シードル)が流行っているようだ。サイダー、美味しいですよ。日本でも次に来るかもしれんね。

余談3:いよいよ吹奏楽に触れなくなってしまい、意図せずブログ乗っ取りが本格的に発生してしまっている。たまには本気で吹奏楽とかの話もしたいとは思っているが、ネタが溜まっており先の話になりそうだ。 あと、記事が長いって話を聞く。そんなか? 本とか読んでいますか? 家族と話をしていますか?


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