このコラムは毎週金曜日、中野がその場しのぎの文章をお送りする企画です。
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先日、正月は三が日を実家でグダグダと過ごしていた。知っていますか?実家は死ぬほど暇である、ということを。もう、ナマケモノの仲間になって体にカビが生えるんじゃないかというくらい怠惰な毎日であった。これが自宅のアパートとかなら、大掃除とか書類の整理とかゲームとか積読本を崩すとか年間収支の予算策定とかできるけれども、実家にそんなに本とか持って帰りたくないし… 年末年始といえば大抵のお店は開いていないし(休むべきだと思います)、初詣は元日の昼に済ませたし(元日は昼前まで寝ていた)、観光地はどこも人でいっぱいだし(休むべきだと思います)、そして何より寒い(底冷え)。ということで、実家でおかんに文句言われながら寝正月をぶち込んでいたのである。
正月といえば、おせち、お雑煮、初詣、おみくじ、そして箱根駅伝である。
行きつ帰りつ
座椅子にもたれ、リビングを横断するように寝転び、足蹴にされつつ、うつらうつらしつつの視聴であったが、今年の箱根駅伝は本当に面白かった。目覚める度に順位が変わっていて何があったのか、という感じであった。
昨年優勝を逃した青山学院大学はぶっちぎりで速かったし、2位となった前回見事優勝を果たした東海大学も速かった。青学は往路・総合で優勝。2位の東海大との差を2分を以上切らせない走り。すごかった。
しかし、それ以上に面白かったのがシード権内。下馬評では有力候補に入っていた國學院大学が往路2位でフィニッシュ、そして3位に来たのがノーマークの東京国際大学。外国人選手で前半上位に食い込んでも山登りなどで後退することが多いと思っていたが、今年は違った。5区の浦野選手、山瀬選手の頑張りっぷりに完全にこの2校を応援するモードになってしまっていた。前年優勝の東海はこの時点で4位。
そして復路。最近は5区の山登りの段階で決着がついていることが多かったが(山の神とか出てきたら太刀打ちできない)、この2、3年は復路が面白い。今回は10区がすごかった。3位~6位の4校(國學院・帝京・東京国際・明治)がゴールテープ直前まで団子状態で突っ込んでくるし、7,8位の名門校(早稲田・駒沢)がデッドヒート、そして強豪東洋をぶち抜く爆走を見せた9位の創価大。10位のシード権ラインの東洋が11時間切りというとんでもない世界。時代は超高速化時代である。リニアか。めちゃめちゃ楽しませてもらった。
足元を見よ
足元を見る、という諺がある。街道筋や宿場などで、駕籠舁きや馬方が旅人の足元を見て疲れ具合を見抜き、それによって値段を要求し、客は法外な値段であっても疲れていればその金額で了承してしまうことから、相手の弱みにつけこむことをこういうようになった。また、料亭や旅館の女将や仲居さんは客の履いている靴を見て客の属しているレイヤーや私生活、状態を見抜くようである。ボロボロの革靴を履いているサラリーマンや、シミだらけの革靴を履いている就活生を見ると少し不安になる。
靴。枝や石から足を守るため、あるいは糞を踏み抜かないために、人は知恵を絞りいろいろな履物を発明してきた。テクノロジーは進歩し… エアマックス狩り等が流行り… ナイキがまた物議を醸しだした。選手の大半がナイキの新型の厚底シューズ『ヴェイパーフライ ネクスト%』を履いていたのだ。箱根駅伝のみならず、ニューイヤー駅伝や、果ては全日本大学女子駅伝まで、左右色違いのこのシューズが特に多く目についたように思える。
今回の箱根駅伝は区間新がバンバン出る大会であった。こんなに区間新を知らせるピコンピコンという音が聞こえるのははじめてだ。数年前までは、総合タイムで11時間を切ることは優勝争いをできる状況だった。だが、今はシード権を獲得するためには11時間を切らなければいけない時代である。選手の頑張りは勿論あるとは思うが、シューズによるところも大きいのだろう。
あまりの寡占っぷりに、禁止するべきでは?という声も出ているそうだが、どうなのだろうか。今まで記録の更新は技術の進歩と共にあったわけだし、禁止するのはどうかと個人的には思う。F1とかも規制が入って面白くなくなったしね… 大事なのは、選手の体力・走力であり、それをサポートするためにどのような道具を選んでうまく使うかであると思う。たとえ、俺がそのシューズを履いてもその辺の中学陸上選手に大敗するのは火を見るよりも明らか。
技術ってそうやって切磋琢磨してイノベーションが起きて進歩してきたわけだし、他のシューズメーカーもがんばれ、超がんばれ。ナイキばっかり日の目を当たっていいのか。ギャフンと言わせてやってほしい。陰ながら応援している。
次回、『ビルド1』。生活の組立。
中野(Hr. / 中吉でした)
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