先日、ライブ後にバンドメンバーがあれやこれやとブログエントリを書いていたので、「ヘッダを付けよう」とか色々アドバイスをした。この週末には2020年に向けた活動の第一回目の練習が予定されており、練習報告などのエントリも次々と投稿されていくことであろう。楽しみである。というか、このブログが私物化されてしまっている状況をどうにかしてくれ。
ところで、こういったエントリを書くにあたって、バンドメンバーの悩みとしては、「何を書けばいいのかわからない」「書く時間がない」「書きたいことは色々あるけれど支離滅裂になってしまい空中分解する」「将来が不安だ」「進路をどうすればいいかわからない」「彼女がいない」「お金がない」「犠牲なくして人は幸せになれないのか」「人はいずれ死ぬ」など、色々とあるようだ。今回は、ブログの書き方で俺が気をつけていることを中心に書いていこうと思う。
書きたいことを書け
弊バンドでは練習の報告エントリの担当を毎回じゃんけんで決めているが、俺はこの練習報告というやつが非常に苦手だ。「練習しました」「楽しかったです」「こんなことを学びました」くらいしか書くことがなく、いつも困ってしまうので正面からぶつからず脱線させて終わらせる。
先生や偉い奴らはこう言う。「言いたいことは何ですか?まずそれを決めて、それを表現できるように書きましょう」と。知るか。そういう場合には特に言いたいことも無いのに言わされており、無理にテーマを決めて沈没すること多々だ。また、仮に言いたいことがあっても、それが反社会的であったり、上司の意向に沿わないものであったりすると叩かれ、修正を強制される。サラリーマンをしていると社内政治の結果、「このプロジェクトは即時止めたほうが良いと思います」とは死んでも言えない状況、ありますよね? 無い? 言いたいことも言えないこんな世の中じゃ。
ともあれ、文章ってのは、必要に駆られて心の奥底から否応なく浮かび上がってきた叫びだ。その叫びのエネルギーを声帯ではなく指先に宿らせて、書け。
まずは勢いに任せろ
何か心の叫び、あるいは思い、考えたことがあったら、すぐに勢いに任せて思いの丈を書き連ねるのがいい。このとき、別にまともな文章にする必要はない。俺はEvernoteとか使って単語とか文節とかのレベルで叫びの概念を書いている。
気をつけなければならないのは、その叫びの熱量を失わないようなメモにすること。クソだと思ったら「クソが」と書け。おおよそ、人の叫びのエネルギーみたいなものは瞬発性のものであり、3分もしない間に萎えるし、何か別のことに上書きされることも多い。だから、勢いに任せてすぐに単語をメモするのがいい。また、この方法を使うと感情が保留される形になるので、心穏やかに過ごすことができるという副産物的メリットもある。
完結させて、推敲しろ
勢いに任せたメモだけでは文章の体を成さない。人に読んでもらう以上、それなりの文章でなければならない。そして文章には何かしらの着地点が必要だ。ここで注意だが、別に着地点がグランドフィナーレである必要はない。猿の惑星の一作目も「ここは地球だったのか」で終わる。ザ・グリードだって怪物をやっつけて豪華客船から逃げ出したところで終わる。一段落つけばそこが着地点だ。Life goes on… 引き続き書きたいことがあるのなら、【つづく】とでも書いて一旦幕を引け。ロード・オブ・ザ・リングだってそうだろう?
おおよそ、勢いに任せて書くと、大変な文章量になってしまいがちだ。気をつけよう。ラーメン二郎のようなハイカロリーな文章(スティーブン・キングや京極夏彦が代表的だろう)が好きな人もいるが、一般的にはあれはパブリック・エナミーの類であり、ブログというメディアは基本的にはローカロリー向けにできている。Twitter・Facebook・InstagramといったSNSはさらにローカロリー、精進料理の域である。
また、読者のことを考えるのであれば、推敲は欠かせない。「てにをは」が正しいか、誤字脱字が無いか、それくらいは一応チェックしておこう。だが、推敲というのはある種の罠でもあり、いつまで経っても終わらないものである。とりあえず一通り読んでみて問題なさそうならとっとと投稿ボタンを押してしまおう。修正は後からでも効く。
数を読み、数を書け
演奏力と同様、語学力や文章力というのも鍛えなければ向上しないものだ。ヒトは生まれてすぐに歩きだして天上天下唯我独尊とか言ったりしない。そのための義務教育の国語だ。英語は使わなければどんどん衰える、ということを大半の人は理解しているにも関わらず、こと母国語においては忘れられがちである。
自分が好きだと思う文章を読み、それ以外の文章も読み、良いと思えるものをどんどんインプットしろ。そして、自分の思うところをどんどんアウトプットしろ。はじめから太宰やモームやドストエフスキーのような文章が書けるわけがない。だが、何もしなければ文章力は一生そのままか、衰える一方である。
ビビるな
「こんな素人の私が書いた文章なんて、ネットに放流していいのかしら」と思うかもしれない。構わない。投稿しろ。胸を張れ。もしネットに上げるのが怖いのならば、友人や家族宛の手紙や葉書で始めるのも良い。今の時代、そちらの方が難しいかもしれないが…
ひょっとしたら叩かれるかもしれない。だが、気にするな。だいたい、100人の読者がいて100人に好意的に受け止めてもらえる文章なぞ存在しようがない(あるいは読者がいないかのどちらかだ)。批評家のことを気にしだすと何もできなくなる。生物は、不利益や危機を過剰評価し、利益や好機を過小評価しがちである、ということを心に留めておくべきだ。
何事もそうだが、第一歩が肝心だ。まずは書いて投稿しよう。最も勇気が求められるのは踏み出そう瞬間である。一般に静止摩擦係数が動摩擦係数より大きいのと同じだ。あとは動き出した流れのまま、次々やっていけばいい。
プロモートしろ
投稿したものの、読んでみてもらえなければ意味がない。愛の反対は無関心であるが、そもそも視界の中に入っていないものに関心を持てというのがどだい無理な話である。だから、プロモーションは必要だ。
人目につくところに、読んでみたいと思うタイトルを付け、ヘッダー画像を付け、投稿しろ。TwitterとかFacebookとかのアカウントを持っているのなら、リツイートとかシェアとかして広く知らしめろ。我々がまず対抗すべきはSNSのしょうもない自己顕示欲マシマシの投稿や、不機嫌な投稿だ。
ひょっとすると、「何を書くか」ということ以上に 「どこで書くか」ということが重要かもしれない。個人的にはこだわりがないのであれば、今日現在だとnoteが良いのではないかと思う。(ただ、この文章自体がインプリメ―レのプロモーションの一環であるので、俺はここで書いている次第だ。)
どちらにせよ、最初は、読者が少ないことだろう。これは仕方のないことである。打てども打てども反応は無く、多くの個人ブログなどは、この初期のいわば『虚無の暗黒』に呑まれてインターネット・アーカイブ行きになる。だが、戦略的に定期的にやっていればそのうち読者も増えてきて、ドリブンしていくことだろう。
さぁ、貴方の文章を読ませてくれ。
次回 読書について、あるいは読んでいない本について堂々と語る方法
中野(Hr. / 来年の手帳を買いました)
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参考
パルプ小説の書き方:逆噴射聡一郎(ダイハードテイルズ)
「パルプ小説の書き方 1 一人称でやれ」(無料)
「2016-2017:DAYS OF MEXICO」
「DAYS OF MEXICO 2018」
「DAYS OF MEXICO 2019」
虚無の暗黒について:ほんやくチーム(ダイハードテイルズ)
「あなたがTwitter上で作品を連載するうえで重要と思われること:虚無の暗黒に挑むには」
「あなたがTwitter上で作品を連載するうえで重要と思われること(02):虚無の暗黒がやってきたら」
今週のリコメンド: Hiatus Kaiyote
今週は、ハイエイタス・カイヨーテをご紹介。オーストラリアのネオ・ソウル・バンドである。日本のバンドの『the HIATUS』ではない。
2011年にオーストラリアのメルボルンで結成され、2013年夏にデビュー。アルバムは2013年の『Tawk Tomahawk』と2015年の『Choose Your Weapon』の二枚。
もうね、ドチャクソかっこいいのよ。
余談1:壇蜜も川村ゆきえも結婚するし、俺は… 俺は… 一体どうすれば… 一体…
余談2:苦し紛れのサウナでの宿泊や高速バスはやっぱりなんだかんだ言ってしんどさがある。自宅サイコー!新幹線サイコー!
余談3:代官山の『アシエンダ・デル・シエロ』ってメキシカンのレストランが立地・雰囲気共に良い割にお手頃で大変良かったです。