インプリメーレ、その魅力。

迷ったら、面白い方を選べば良いんですよ。
そして、面白くするのも自分自身ですよ。

後藤誠之
(美容師・ビアパブオーナー)

先日、ライブに向けた3日間の合宿があった。いよいよだ。幕が上がる。

ライブ情報

あなたが今、ここを読んでいるのが2019年の10月19日の午後以降だったとしたら、時既に遅し。この見出しは飛ばして、次の見出しへGo。もしそうでないのなら、インプリメーレ LIVE 2019『Go To Eleven』が以下の要領で開催されます。是非お越しください。

昨年の自分が良い感じにアジテートしていたので抜粋してみた。

ところでおまえは土曜に何をしているのか?

ところでおまえは金曜日の夜、上司に付き合って場末のフィリピンパブで限りなく薄い水割りを飲んだり、そそり立つ仕事の山をやっつけたり、あるいは幸せであれば家族団らんをしていることだろう。そして寝る。翌日、5日間のウィークデイを乗り切って疲れ果てたおまえは昼前まで寝てしまうことだろう。

起き抜けに触ったスマホでYoutubeをザッピングしたりTwitterのログを見、気付けば腹が減り、暗くなった外を見て「せっかくの土曜日に一体何をしていたんだ…」「責任者はどこだ…」とぼやくこともあるだろう。そのようにしていつしか歳をとり… 酒とベイブに溺れ… あのときああしていればと後悔しながら孫などに囲まれながらあっけなく死ぬ…

だからおまえはまず土曜日を取り返すことをしなければいけない。せっかくの土曜日はYoutubeのザッピングとか流れるタイムラインを眺めるのをやめて、まずは外へ出るべきだ。寺山修司も似たようなことをたぶん言っている。

外へ出るのも悪くはないけど、面白いものが無いんだ、それよりも寝ていたいんだ、とおまえは言うかもしれない。気持ちはわかる。だから我々がいる。

結論:演奏会に来い

最近はAmazonプライムとかiTunesとかSpotifyなどがあり、満員電車の中でもスマホでお手軽に音楽が聴けるようになった。一方で、駅前でギター一本で歌っている若者がいても、疲れ果てたおまえは愛する家族のいる家路を急ぐことだろう。

そんなおまえが最後にコンサートとかライブとかギグとかに行ったのはいつだ?オーケストラのフォルテシモを肌で感じたのは?ロックスターの歌声に感情を揺さぶられたのは?スピーカーの前で踊り狂ったのは?

たしかに、カラヤンの第九とかホワイト・アルバムとかはたしかに良い。だが録音ではなかなか得難いものもある。景色、香り、雰囲気、臨場感、一体感、熱気、チル、REAL… そういうものが生演奏にはある。

おまえがやることはひとつだけでいい。今週末、それらを求めて土曜日にある我々の演奏会に来ればいい。Youtubeのザッピングよりは断然楽しめるはずだ。

おまえは伊丹で土曜日を取り返す http://blog.imprimere.jp/news/1466

しかも、今年は近隣で第21回伊丹まちなかバルが開催される。これはもう、我々のライブを聴いてから街に繰り出し、明日のことは忘れて食に酒に溺れるしかあるまい。

インプリメーレ、その魅力。

何故俺は、インプリメーレに入っているのだろうか。片道3〜4時間もかけて練習に行くのは、傍目から見れば大いに不合理であり「地元の吹奏楽団に入ればいいのでは?」「暇人かな?」「アホなのでは?」と思うことだろう。

いくつか理由はある。一つは人、一つは技術、一つは挑戦である。

人。古くからの友人もいれば、新しく若々しい人と知り合うこともできる。団の出自から高専出身者は多いものの、様々なバックグラウンドを持つ人と交流を深めることができる。皆、音楽に対する愛は深く、でもストイック過ぎない、絶妙な温度感が心地良い。上下関係などのしがらみもない。居心地の良い環境での人との関わり合いというのは、本当に楽しいものだ。

技術。練習を重ねるうちに楽器が上手くなるのは当然のことではあるが、それもいずれは頭打ちになる。プロとかいるもの。吹奏楽部の学生ように、コンクールに向けて一生懸命にやっていたのではなかなか身に付かないであろう技術(アドリブ、ペース配分、初見力など)が、このバンドでは重要になっていると感じる。新しいことを知り、できるようになり、それをまた普段の演奏に応用するということは、本当に楽しいものだ。

挑戦。インプリメーレというバンドは吹奏楽界においてはほん少し亜流であるように感じる。メンバーの好みによるものか、吹奏楽ではあるもののジャズのビッグバンドやロックバンド(チェンバー・ロック的な)といった、クラシックとはまた違うライブ感の追求をしている。いかに自らが楽しみ、お客さんに楽しんでもらうか?を考えていると、色々なことにチャレンジせざるを得ない。吹奏楽という狭い世界ではあるものの、新しい試みに挑戦していくのは、本当に楽しいものだ。

個人的な感想をまとめるとすれば、こうだ。熱量はほどほどに、しかし真剣に音楽とお客さんに向き合いながら楽しむ、それがインプリメーレというバンドだ。そして、 俺自身の目標はと言えば、音楽を全身全霊で楽しむことである(全身全霊で楽しんでいる一部がこのコラムの連載である)。でも、もしかすると、他のメンバーは全く違った目標を持っているかもしれない。それでもなお、個々人の目標がバラバラであっても、それを広く受け入れて肯定してくれる、それがこのバンドの魅力であると思う。

おーい磯野、バンドやろうぜ!

吹奏楽団体は数多く存在する。そんな中、インプリメーレというバンドに興味を持ってくれたのなら、是非ライブを見に来てほしい。YouTubeに動画を上げているが、あれは我々のほんの一部でしかない。大抵、本質は表層には現れないものだ。

もし、ライブに来れなかったとしても、いつでも練習の見学ができるので、バンドの雰囲気を掴むことはできる。全体的にゆるりとしたバンドであるので、何かを強制したりすることはほぼないと思う。

「しばらく楽器に触れておらずどこかで吹きたいけれどもガチのバンドは無理っす」という大人、「吹奏楽はやりたいけれど学校の部活の上下関係やストイックさにはついていけません」という学生さんにはうってつけだと思う。興味があればまずはご連絡を。我々はあたたかく、あなたを歓迎します。一緒に音楽、やりませんか。

次回|またいつかどこかで

中野(Hr. / 日付を越える時計を眺めながら)

参考文献

ライ麦畑でつかまえて(J.D.サリンジャー)
社会や大人の欺瞞に中指を立てていくホールデン少年とNYを舞台にした世界的ベストセラーの青春小説。
春樹訳もあるが、やはり野崎訳の方が好き。
終盤のセントラルパークの描写が美しすぎる。
勝手に生きろ!(チャールズ・ブコウスキー)
過酷な労働と、嘘で塗り固められた社会に嫌気がさし、中指を立て、クビになったり自ら辞めたりの繰り返し。そんな日常の中で唯一の救いは「書くこと」。投稿しては送り返される原稿を彼は毎日毎日書きつづける。嘘と戦うための二つの武器、ユーモアと酒で日々を乗り切りながら。
CATMAN(青池良輔)
孤独でイージーゴーイングな一匹狼の猫「CATMAN」がスカに乗せて送る、スタイリッシュかつクールでハードボイルドなFLASHショートアニメーション。
中指立てまくり。ボコられまくり。それでも自由を追い求める姿勢に痺れるんだよ俺は。

今週のリコメンド|ボレロ(モーリス・ラヴェル)

別のアーティストを紹介しようと思っていた。だが、今回が一つの締めであるのでフィナーレ感が欲しいことに加え、紹介しようとしていたアーティストをPerc.のイサナさんにズバリ言い当てられた悔しさがあったので、それはまた別の機会に。

今回のライブに向けた高揚感、来年のライブへの期待感、『金曜日の中野』第一シーズンの終わりのお祝い感。相応しい楽曲は何だろうと思ったが、これはボレロだな。

さぁ、やってやろうじゃないか。

せっかくなので吹奏楽バージョンを。
原曲ならカラヤンとベルリン・フィルの1985年12月収録Ver.が最高です。

余談1:合宿では主に、サウナの素晴らしさを再確認したり、パピコを女の子と分け合って食べるなどのイベントが発生したり、ラグビー観戦で大いに盛り上がったり、Fl.の姐さんにオスカー像を贈呈したり、何か小説的なものを一本書こうと思ったり、Cl.の姐さんの「だって話が面白くないんだもの」という言葉に深く傷ついたり、消える魔球ことイサナさんと濃厚なトークをかましつつ帰宅したりと、割と忙しくしていました。

余談3:もっと上手く、色々できるようになりたい。具体的にはアドリブとか。あと、もっと面白くなりたい。贅沢を言うなら、モテまくり勝ちまくりになりたい。

余談2:「次回ライブまで続けられれば」と4月26日に勝手に始めたこの連載も、気が付けば約半年、一度も原稿を落とすこと無く続けることが出来ました。これもここまで読んでくれている皆様のおかげです。今後とも宜しくお願いいたします。達成感がすごい。不定期になるかもしれませんが今後もやっていきたいと思います。


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