ランボー/怒りの東急ハンズ

吹奏楽団インプリメーレでは団員を大募集中です。
詳しくは文末の団員募集のバナーからアクセスください。

本コラムは個人の見解であり、所属するいかなる組織の公式見解ではありません。
吹奏楽団のブログですが、吹奏楽の話はたいてい無いです。


新着情報

YouTube

結婚した迎氏に、副団長の松田氏からパンジャンドラムが送られ、さっそくレビューしています。

コラムのコーナー

モノは頭ではなく 手で作れ

本田宗一郎

先日、部屋の掃除をしていて、自宅のメインとして使っているテーブル(鉄の足に分厚い木板がデン、と載っている)の光沢が失われていることに気が付いた。

楽器や機械にメンテナンスが欠かせぬように、家具にもメンテナンスは必要だ。というか、使い捨ての物以外でメンテナンスフリーの物などほぼ無いに等しい。それらのメンテナンスを怠る者は自身のメンテナンスも怠りがちで、高脂血症や高血圧、あるいは大量のTODOリストに溺れて死ぬ。誰しも遅かれ早かれ死ぬのだが。

そういうわけで、テーブルにワックスをかけよう、と思ったわけだ。

さて、ワックスをどこで買うか?という問題がある。パッと思いつくのはDIY用品が充実したホームセンターだろう。ただ、近くのホームセンターの品ぞろえは「DIYに最低限必要な商品を広く網羅してまっせ!」という感じであり、選ぶ楽しみがない。そこで思いついたのが東急ハンズ、だ。

東急ハンズが好きだ。DIY用品やハンドクラフト関連、それからハウスケア商品を中心にいろいろな種類が取り揃えられており、実演販売とかもあったりして、ぶらぶらしているだけでもけっこう楽しい。試験管とかも売ったりしていて、まさに「男の子ってこういうの好きだよね」がぎゅっと詰まった空間になっている。姉妹ブランドに、プレゼントや雑貨に特化したハンズ ビーってのもあるが、あれはどうでもいい。

で、さっそく最寄りの東急ハンズを調べて行ってみたわけだ。超大型ショッピングモールの中で、1セクションをまるまる使った店舗。だが、探せども探せども、ワックスが見つからない。というか、DIY用品がどこにも見当たらない。行けども行けども、見つかるのはキッチン用品(ゆで卵カット器とか誰が買うのさ)や化粧品、文房具ばかりだ。ようやくそれらしきコーナーがあったのが、店の一番奥、非常口の前。しかもあるのは緊急補修用のカラースプレーとか錠前だけ。結局、お目当ての品物は気配すらなく、スゴスゴと退散することとなった。

家に帰って、バゲット(モールに入っていたDONQで買った)を齧りながら怒りに打ち震えていた。「あの品ぞろえは、もはやただの巨大雑貨屋であり、東急ハンズではなく、ハンズ ビーに改名するべきでは?」「Loftとなんら変わることのないセレクション、そんな市場の奪い合いをしても誰も幸せになれないのでは?」「バゲットおいしいな?」「というか、あれだけ多種多様のジャンルの専門店が溢れかえらんほどあるショッピングモールの中で、広く浅く品物を揃える(揃わない)意味ってなんなのさ?」

なぜこんなことになってしまったのか? 詳しいことは業界の人に任せるとして、俺がぼんやり考えた理由はこれだ。「マス狙い」からの「アイデンティティの喪失」。

彼らも商売だ。慈善事業ではないので、利益がないと続けられないし、何より主に株主に怒られる。悲しいけど、これって資本主義社会なのよね。結局、確実に売れる品や、いろいろな人に買ってもらえそうな品を扱うことになる。そうするとどうなるか?ショッピングビルやモールの一角にある、有象無象の色々取り揃えた、似たようなお店が乱立することになる。

「なんでもできる」は「何もできない」と言われるように、「なんでもある」は「何もない」ことが多々ある。「あれも、これも、それも、どれも」取り揃えた結果、「本当に顧客が必要だったもの」が無くなってしまう。

アイデンティティの喪失。あるいは、当初の方向性の喪失。「東急ハンズの『ハンズ』って手だろ、DIYとかハンドクラフトとかに力を入れなくてどうするんだ?」ってことだ。さすがに今回はあまりにも顕著だが、これまでも至る所でそれを目にしてきた、気がする。

かつての河原町ビブレに入っていたLoft、あるいは、かつて北山に存在していたヴィレッジヴァンガード。今でも京都にはLoftがあるし、ヴィレッジヴァンガードもあるが、それらはかつての彼らとはどうにも雰囲気が違う。正直、結構つまらない。「小奇麗にまとまっちまいやがって…」といったところか。今では、全国どこのLoftに行ってもLoftだなぁという感じだし、全国どこのヴィレッジヴァンガードに行ってもヴィレッジヴァンガードだなぁ、という感じだ。

もちろん、これらの店が変わったのではなく、受け取る俺自身が変化した、という見方もできよう。しかし、それにしたって、あまりにも劇的につまらなくなりすぎではないか?

往々にして、皆が求めるものを追い求めると、やがて個性を失い魅力が薄れる、という現象に陥りがちだ。

「どこまでも突き詰めていって均一化したときに最後まで残る差異、それこそが個性さ」という人もいるが、何もわざわざ自ら進んで他と食い合う世界に飛び込む必要は無かろう(飛び込まなければ即ち死、という状況を除く。富士フィルムとか)。

音楽集団においても然り、である。何がとは言わないが、各種コンクールとかさ。

最終的に、ワックスはAmazonでポチった。品ぞろえで勝負したら、どうしたってAmazonにはなかなか勝てねぇよ。しかも家にまで届くんだぜ? そこで出てくる、「小売店の魅力って何よ?」って話だ。これは宿題にします。

それはともかくとして、どうやら今週末は天気が悪そうだ。家に引きこもってテーブルのやすり掛けからやっていこうと思う、そんな今日この頃である。

なお、ヘッダー画像は げんれい工房/挫折禁止 (genrei-koubou.com) からお借りし候。

今週のリコメンド

ACE COMBAT シリーズ

エースコンバットってゲームを知ってるかい? 大量にミサイルを積んだ戦闘機とか、レールガン搭載の架空機でトンネルを抜けたりするナムコのゲームだ。初代が1995年の夏にPSで発売されてからというもの、シリーズを重ねてきている。めちゃめちゃ面白い。最新作の7は新技術モリモリ、しかも過去シリーズから積み重ねてきた歴史の織り成すストーリーの重厚さで素晴らしい(そして未来へ)。個人的にはPS2で出た4が一番好き。ゲーム性もシンプル、演出も良く、何より幕間が最高。

そんなシリーズも、とうとう初代から数えること25周年を迎え、DLCが出てきたり、歴代の音源のRemixがYouTubeにアップロードされたりしている。そのRemixシリーズがすこぶる良く、特に7曲目にアップロードされた『ZERO -Dedicated to Mr. C Remix-』が最高。何度聴いても良かったのでご紹介。Mr. Cが誰だって?聴けば分かるさ(動画の冒頭に出てくるけど)。

Remixのソースは嘘字幕シリーズなどで有名なZEROのテーマ曲だ。特にオーラスのアドリブが、スゲー良い。もちろん、他のRemixも良曲ぞろいなので一回聴いてみて。

最高だ。
6より、The Liveration of Gracemeria -Dance With The Moonlight Remix-。
イントロから徐々にアゲていく感じが超良い。
本家のZEROのOP
嘘字幕シリーズの傑作、『嫁のメシがまずい』


余談1: 半導体の供給不足で自動車業界がヤバい、というニュースが度々あるけれども、隠れたところで射出成型用の樹脂材(ペレット)の原材料や鉄もそこそこ厳しいらしい、という話を聞いた。何にも作れないじゃん…

余談2: 最近、オーディオスペクトルビジュアライザ(今週のRecommendの動画のエフェクトみたいなアレよ)って見かけないよね。昔のカーステとか、だいたいアレついてなかった?アレをおかずにご飯が3杯食べられるくらい好きなんだけど。あのピコピコ動くさまがあれば、無限に音楽が聴けるし、人類は幸せになると思うんだよな。たまにYouTubeの動画とかで見かける、上下に振れて、しかも連続しているタイプのは、あんまり好きじゃない。こう、ある程度区切られてソリッドになってる方が良くない?分からない?分からないならいいです。

余談3: 最近、打刻シール(今週のRecommendの動画の左上に貼ってあるアレよ)って見かけないよね。昔のちょっとした道具箱とかに貼ってあったりしなかった?アレをおかずにご飯が2杯食べられるくらい好きなんだけど。あの触ったときの凹凸と文字の間隔のばらつきがあれば、オリジナリティ溢れるし、人類は幸せになると思うんだよな。たまに見かけるテプラは、あんまり好きじゃない。こう、ある程度の手作り感があってソリッドになってる方が良くない?分からない?分からないならいいです。

シェア: