なぜ洗濯物は部屋で乾くのか

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この記事は、毎週金曜日、団員の中野がお送りするコラムです。
なお、このコラムは個人の見解であり、所属する組織の公式見解ではありません。

今週のアップデート

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『リモプリ!!』として、ぎーさん(Perc.)の演奏で、ピアノ曲集『お菓子の世界』より。

かわいい小品だなぁ、と思います。
これまで6曲続いてきた「お菓子の世界」をリサイタル形式で。
#おうちでリサイタル って企画があったんですね。

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指揮者、ガチャポンの配線器具ミニチュア模型について語る。

なぜ洗濯物は部屋で乾くのか

ゆく河の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず。淀みに浮かぶうたかたは、かつ消えかつ結びて、久しくとどまりたるためしなし。世の中にある人とすみかと、またかくのごとし。

鴨長明『方丈記』

先日、つかの間の晴れ間、ベランダで洗濯物を干していた。『子ども科学電話相談』の「洗濯物を外に干すとお日様が乾かしてくれるけど、お家の中ではどうやって乾かしているんですか?」という質問を思い出した。質問がかわいい。なんで部屋で洗濯物が乾くのか、湿度の概念を知らない小学一年生が不思議に思うのも無理はない。「大気に含まれている水蒸気がね…」「水蒸気圧が…」って言っても多分混乱するだけだし、空気がカラカラだとかベタベタするとかそういうところから入っていかないといけないんだろうな。

温度が上がると飽和水蒸気量が増える。義務教育の頃はそういうものだと暗記していたけど、仕組みを理解するのにはさらに数年が必要であった。湿度、割と普通に使うけど、かなり高度な概念では? 温度とかもそうだけど。

思えば、不思議なものである。洗濯ひとつとっても、洗濯のための水は溜池や川から取水され浄水されて水道に供給されているわけで、もとをたどれば雨だったわけで、それは雲からきているわけで…。雲は空気中の水蒸気が上空で水や氷になったりして形成されており、その水蒸気は洗濯物を乾く過程でできたり、洗濯排水が流れ流れて海水になって蒸発したものだったりするわけで…。ひょっとしてH2Oが延々と移動し続けているだけなのでは…?

我々は大いなるシステムの中で生きているのだなぁ、とふと思った梅雨でした。みんなもっと自然環境のことかんがえて。

Oxygen Not Includedでシステムを考えろ

システムの話が出たついでに、『Oxygen Not Included』がめちゃめちゃ面白いという話をしよう。『Don’t Starve』で一躍有名になったカナダのゲームメーカー、Klei Entertainmentによる作品だ。この会社、サバイバルゲーム作らせたらホントにうまいな。小惑星の中でコロニーを作って、生き残れ。

公式ローンチトレーラー。

スペースコロニーリソース管理ゲーである。管理に失敗すると複製人間が死ぬ。酸欠で死ぬ。水が枯渇して死ぬ。温暖化によって作物が育たなくなって餓死する。石炭発電に頼っていたら石炭が枯渇し、電気不足で機械が動かなくなって死ぬ。ストレスがたまった奴が設備をぶっ壊してまわった結果、システムが崩壊して死ぬ。灌漑用水に混じった病原菌や、空気中に蔓延した腐敗菌による病気で死ぬ。

研究を進めるとどんどん新しい設備を作ることができるようになるが、どれも作ればオッケーというわけにはいかない。たとえば酸素が欲しいと思って電解装置を作っても、水を使う、電気を使う、熱を出す、水素を出す。水を冷やそうと思って液体クーラーを設置しても、クーラーへの蓄熱に対処しなければ早々にオーバーヒートして使い物にならない。

物質には質量や圧力、比熱容量・熱伝導率の概念があったりするのも一筋縄でいかなくて良い。融点の低い素材で作った通気パイプにアツアツの気体を流すと溶けて壊れるし、液体パイプの内部で液体が凍ると破裂したりするあたりも乙である。

そして基本的に資源は有限であるので、なんとかやりくりしていかなくてはならない。周囲の資源を食いつぶしつつ、周辺の環境を有効活用しつつ、人材を有効活用しつつ、なんとかコロニーを維持していかなければならない。次々と起こる問題や予想される崩壊を避けるために、システムについて考えざるをえず、色々と試行錯誤しているうちに夜が更けていく。人間の社会と同じですね。

Steamで7月10日までKlei作品がセールになっているので、Don’t Starveも併せて是非どうぞ。PCの必要環境もそれほど敷居高くないし、よっぽど古いパソコンじゃなければいけるんじゃないかな。そして悶絶しよう。

参考

RECOMMENDS: 高木正勝

1979年生まれ京都出身。長く親しんでいるピアノを用いた音楽、世界を旅しながら撮影した「動く絵画」のような映像、両方を手掛ける作家。『おおかみこどもの雨と雪』『夢と狂気の王国』『バケモノの子』『未来のミライ』の映画音楽をはじめ、CM音楽、執筆など幅広く活動している。最新作は、自然を招き入れたピアノ曲集『マージナリア』、6年間のエッセイをまとめた書籍『こといづ』。


余談1: 極寒の地でも洗濯物を外に干して乾かすそうだ。ただし、凍らせた後に氷を払うという方法によって。洗濯物を乾かす、というのは衣類から液体を取り除くということなのだ、ということを改めて気づかされた次第である。「それは本当は何なのか?」という『フィリップ・K・ディックの問い』の大切さを思い知らされる。

余談2: 世間では無人島を開拓して株取引で儲けるゲームが大流行している。こんどのアップデートで海水浴とか追加されるみたいですね。アイテム追加くらいならまだしも、海水浴できるってなるとモーションや判定の追加とか泳げる範囲の設定とか、博物館の拡張や陳列内容の考察もあるだろうし、任天堂の開発力ってすげぇや…って素直に思いました。そういえばDon’t Starveも無人島ゲーですよ。

余談3: バイオハザード0をとりあえずノーマルでクリアしました。アイテムボックスが無いの、正直しんどかった。あと、雑魚敵のヒル人間が強敵だった。攻撃のリーチは長いし、出てくるところは大抵狭いし、特効のはずの火炎瓶は投擲のモーションが遅いうえに、うまく当たらねぇ…。 このシリーズは初代リマスター版⇒0とやったので、次は気が向いたらRE:2をやります。


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