褒められたい

このコラムは毎週金曜日、中野がその場しのぎの文章をお送りする企画です。
Supported by インプリメーレ。

やってみせ、言って聞かせて、させてみせ、 ほめてやらねば、人は動かじ。
話し合い、耳を傾け、承認し、任せてやらねば、人は育たず。
やっている、姿を感謝で見守って、信頼せねば、人は実らず。

山本五十六(1884-1943)
第26、27代連合艦隊司令長官

先日、師匠から相談を受けた。師匠は、その師匠(俺からしてみれば大師匠)から、「プログラム作ったんだけど出力が思い通りにならないんだよね、解決方法求む」という指令を受けたそうな。そんなわけで孫請け的におれのところに案件がやってきた。幸い、原因もすぐに特定できたので、急いで対処方法を調べて、プログラムを書き換えて回答したら師匠に褒められた。 (途中で「ふんがー!分かんねぇ!このコードを書いたのは誰だぁっ! 」となったことも今となってはグッドメモリィー…)

この師匠に限らず、尊敬できる人から「やっぱ凄いな」とか「超いいじゃん」とか言われると、温かい気持ちで満たされる。そんなに誇れることではないかもしれないが、やはり褒められるのは良い。正直なところを言えば、めっちゃ褒められたい。でも、ただ手放しで根拠もなく褒められるのはなんかムカつく。そんな、ティーンエイジャーの乙女心めいたことついて書こうと思う。

なんで褒められたいわけ?

社会で、多くの人に揉まれて生きている人にとって、褒められたいとか認められたいとか、そういう承認欲求はもはや呪いの域だ。特に20~30代は承認欲求が強まりがちらしい。SNSとか、露骨に承認欲求を刺激するシステムになっており、もはやアクセル全開だし、やりすぎでは?

……しかし、なんでこんなに人は褒められたいとか認められたいとか評価されたいとか、そういうふうに思うのだろうか?個人的には、(当然人によって強弱はあるにせよ)次のような理由があるんじゃないかなぁ、と思う。なお、個人の感想です。

  • 周囲にいる人より優位に立ちたい
    • すげぇ分かりやすい。生きていくためには食っていく必要があり、立場が上であれば食うに困らない可能性が高い。そういう本能的なところから来てるんじゃないかなぁ。
    • エリートとか意識高い人とかでなんか圧が強い人とか、SNSでやたら自撮りが多い人とかのそれ。
  • 自己評価を確立したい
    • 自分で自分の技量が分からないので、客観的に評価されることで自分の立ち位置を確認したい。つまるところ、碇君よろしく「僕はここにいてもいいんだ!」と言いたいんじゃないかなぁ。
    • 若ければ若いほど、この傾向はあるように思う。
  • 間違っていないことを確認したい
    • 自分のやっていることが正しいかどうか分からんという場合、不安が付きまとう。褒められればとりあえずそれでオッケー、みたいな答え合わせができて不安が解消されるので。
    • 完璧主義とか、自信の欠如とか、そういうところから来てるのでは?
  • 努力をアピールしたい
    • 基本的には一番上と一緒だけれども、こっちはなんかもうちょっと卑屈な感じがする。
    • 上に挙げたのがジョックとかクイーン・ビー的な感じだとすれば、こっちはそういったヒエラルキー上位者に対するワナビーのそれ。
  • 所属している組織が少ない
    • ある組織に所属していれば、パッシブに承認欲求が満たされる気がする。ここでいう組織っていうのは学校とか会社の集まりだけではなくて、家族とか、友人関係とか、趣味の集まりみたいなのも含む。そう、バンドとか。
    • 要は後ろ盾が欲しいとか、安らげる居場所が欲しいとか、そういうことなんだろうなぁ。
  • モチベートしたい
    • 結果(+過程)と評価というのは表裏一体だ。良い結果を出すと、良い評価が得られて、気分が良くなり、モチベートされてまた良い結果につながる。じゃあ、良い評価を得られれば良い結果を生むんじゃね?という考えに至り、良い評価を得ようとする。
    • これ薬物依存と一緒じゃねぇか!

とまぁ、色々考えてみたけど、最終的には生きていくために承認欲求はあるのだだなぁ、という結果になった。「山にこもって仙人か天狗になって霞を食い続ける」「一匹狼として略奪とともに生きていく」とか、そうでもない限り、承認欲求は切っても切り離せねぇ。業だなぁ。

そう思うと、吹奏楽団に加入していることとか、こうやってブログを書いていることとか、その裏に欲望が透けて見えてきてなんかアレな気分になる。もちろん、音楽を演奏したり文章を書いたりしたりして、創造性を発揮したい、技術を磨きたいとかそういうのもあります。

ギブ・アンド・テイクだ

褒められたいという欲求から逃れられない以上、それを排除しようとするのは徒労に終わるんだろう。であるなら、いっそのことめっちゃ褒められる環境を作るしかない。

人との関係はギブ・アンド・テイクが基本だと言う。カタカナで言えばなんとなく薄まってしまうけど、貸し借りが存在するってことであり、そこには無償の愛とかあしながおじさんとかいない。ギブ・アンド・テイクはギブが先、テイクが後だ。テイク・アンド・ギブが基本の世界っていうのは前金至上主義であり、なんかこうギスギスするし、お互いを信用しない世界だ。褒められたい(=テイク)というなら、先に自らが成果を出すなりいい気分にさせるなり(=ギブ)するのが道理。

あと、お互いの良いところを見つけてそれを積極的に褒める習慣がいる。水をワインに変える男曰く「人にしてもらいたいと思うことは何でも、あなたがたも人にしなさい」だ。とはいうものの、過剰にお互いを褒めあっている環境っていうのもめちゃくちゃ気持ち悪いし、バランスが難しいなぁ、と思う今日この頃です。

中野(Hr. / プロ、グラマー)

RECOMMEND_01|The Ink Spots

一番好きなゲームは何だ?と聞かれたら、迷った挙句に回答するのがFallout 3だ。Fallout 3のみならず、Falloutシリーズは面白く、無限に遊べるのでやめどきがつかず、プレイ時間がとんでもないことになり、生活は崩壊する。Civilizationとどっこいの危険物だ。Falloutシリーズはプレイ中にラジオを流せるのだが、全体的にオールディーズが多い。今回紹介するThe Ink Spotsはそんなラジオに多数収録されているし、オープニング曲になったりしている。聞き流している間に歌えるようになった。

The Ink Spotsはアメリカで活躍したヴォーカルグループだ。1930~1940年代に人気があった。R&Bやロックとかの先駆けらしい。言われてみれば確かに。気楽に聞けるし、のんびりしたい晴れた休みの日とかにオススメだ。



余談1:昨日、友人と焼き鳥・串焼きを中心とした居酒屋へ行った。野菜を豚バラで巻いて焼いたやつが美味く、俺これだけでいいや……ってなった。アスパラ肉巻きあるのに焼き鳥必要?特に、セリの肉巻きが死ぬほど美味かった。こういうのでいいんだよ、こういうので。

余談2:最近、夕食がほぼ毎日キムチ鍋になっている。実際、男の一人暮らしは基本的に野菜が不足しがちであり、油断するとすぐにコンビニ飯と牛丼と宅配ピザで占められてしまうような状況になりかねない。そういう意味で野菜をがっつり摂れる鍋は最高だ。暖房費の節約にもなる。

余談3:VBAエディタの初期設定、クソ使いにくい。死ぬかと思った。

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