演奏会レポ:打楽器オーケストラpicopico 第1回定期演奏会@伊丹アイフォニックホール


演奏会で使うホールが同じということから我らが指揮者迎君と副団長松田君が声をかけた打楽器オーケストラpicopico様。その最大の特徴は何と言っても奏者全員が打楽器担当、つまり打楽器のみで構成されたオーケストラということ、そして演目が全てゲーム音楽ということである。

今回ライブのチラシを挟み込むという名目で演奏会に参加してきた。その感想をつらつらと書いていくのでよかったら見てって下さい。


まず全体を通した感想を言うととても面白かった、来てよかったと思える演奏会だった。
これまでも後輩らや他団体の演奏会に行ったことはあるが「すっげー」とか「頑張ったんだなぁ」みたいなことは思っても「面白かった」と思える演奏会は恐らくこれが初めてだった
(感想としては3月に見に行ったCMBが近いかな?)。
何せ舞台上の演者総勢23名全員が全員楽しそうに演奏しているのだ。演奏だけではない。何なら舞台に登場したその瞬間から既に演奏会を楽しんでいる。とても楽しそうに舞台を歩き、スティックを握り、流れるように演奏する。見てるこっちまで楽しくなってくる。そんな雰囲気の2時間半の演奏会、楽しくないわけがない。
主幹であるTOMYさんのMCも演奏会に華を添えていた。時に軽妙なトークで観客の笑いを誘い、時に固くなりすぎない程度に演奏会を実現するための苦労を語る。全国津々浦々から集まった団員達の紹介も交えたMCはTOMYさん延いては打楽器オーケストラpicopicoの個性を端的に表していた。


1部の全体演奏だが、この時点でpicopicoの個性が炸裂していた。打楽器だけで楽曲の主旋律や伴奏は勿論のこと、ゲームのSEをこれ以上ないほどの再現性で披露して見せたのだ。特に二曲目のスーパーマリオメドレーでは、グロッケンシュピールで様々なSEをこれでもかと言わんばかりに再現していた。それだけでなく、演奏中に我々アラサー世代のほとんどが幼少期に経験したであろう生活の一コマまでも再現していたため、客席では歓声と笑い声が交互に巻き起こっていた。あとはまあ、他と比べてSE担当の奏者がやたら楽しそうに見えたくらいか…
イヤ、絶対楽しいけどさ…


休憩を挟み2部のアンサンブルステージに移ったが、これは団員達の“これがやりたかっただけだろ”を叶えるためのステージだった。しかし、ただやりたいだけじゃ実現できないので、団員達のやりたいを実現させるに足る驚異的な実力がバリバリに見えるステージでもあった。
特に3曲目の東方メドレーでは鍵盤隊の一糸乱れぬ超高速トレモロ(?)奏法を見ることができたため、打楽器担当なのに鍵盤を担当したことのない身としてはただただ感心するしかなかった。
他にも自分が演奏したいがためだけにわざわざメドレーを編曲した猛者が現れたり、またもや打楽器による再現度の高いSEが聴けたりととても満足度の高いステージだった。
(なんかステージ上にキーボードやエレキベースが見えた気もするが、鍵盤や弦を叩く奏法もあるっちゃあるのでそういう意味では打楽器でもあるだろうから問題ない)


3部は再び全体演奏に戻り、クロノトリガーメドレーを披露。二部までの面白おかしい雰囲気とは一辺、普段のインプリの演奏会のような緊張感のある雰囲気が会場を包んでいた。ここでも打楽器によるSEの再現はあったが、ここではあくまで楽曲がメインなのでそこまで目立ってはおらず、その代わりに鍵盤隊による管楽器によるオーケストラにも勝るとも劣らないほどの重厚なサウンドが広がり、まるでゲームの世界に迷いこんだのかと思うほどに会場に楽曲の世界観を展開していた。


冒頭でも述べた通り、この演奏会はとても面白い演奏会だった。と同時に、あくまで個人的な意見だが、この演奏会はとても理想的な演奏会でもあると思う。演奏会が始まる直前には客席はほぼ満席になっていて、その観客のほとんどが演奏会を楽しんでいるのが見てるだけで伝わってきた。観客にもわかりやすい馴染みのある楽曲。それを完璧に演奏できる技量。そして何より楽しそうに演奏する演者たち。楽しくない要素がない。というか楽しい要素しかない。
残念ながら俺もまだまだ実力不足だしこれまでの演奏会も緊張してた記憶しかないので演奏を楽しむ余裕のある奏者になりたいなあと思ったし、こんな歓声が起こるほどに楽しい演奏会ができたらなあと思える素敵な演奏会だった。

それでは。

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